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第113話 ミトの生い立ち
ミトは母と二人暮らしだった。
父親の事を聞いたら
「僕、お父さんが8人いて、誰も一緒に暮らした事はないけど、僕と母さんを支えてくれたみたいなんだ。」
ロジはミトと出会った頃、法律的には無理だがミトと結婚したいと母親に承諾を貰いに行った。魂の結婚。ロジには珍しく、ミトを自分だけのものにしたかった。
母親はロジより10才年上だった。30才でミトを生んだらしい。今は56才か。
ミトの母親は"青木みと"の名前でかなりハードなベッド小説の書き手だ。自分の息子がゲイだ、という事を面白がっていた。
彼女は結婚歴はなく複数の恋人と同時進行で付き合っていた時、ミトを身ごもった。
そのころ、恋人は8人いたそうで、誰に責任を迫る事もなく、サバサバと一人で私生児を生んだ。
「一人で育てるから心配はいらない。誰にも認知を要求したりしないから。父親はこの8人の内の誰か、だと思う。この子のパパは8人いるって事で。」
8人の男たちの中には妻帯者もいたし、社会的地位の高い者もいた。中でも、知性と教養のある美貌の売れっ子ホストは、結婚を望んだ。
母親本人に、誰とも結婚したくない強い意志がある事がわかると、彼ら8人は話し合って養育費を出すことにした。それぞれの収入に見合った額を自主的に出す事になった。何の争いもなく、平和に事は運んだ。時々会いに来る者もいた。
学校行事などに進んで参加したがる者もいた。
母親は
「ミトにはお父さんが8人いるのよ。」
と教えた。ミトは個性的な母親と8人のこれまたタイプの違う自称父親たちによって育って来た。
父という存在と生活を共にした事はない。
ミトの美貌は、元ホストに
「俺の子供だ!」
と叫ばせる事もあったが、母親は相手にしなかった。
ミトの生い立ちは中々興味深い。
それにつけてもミトは美しい。
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