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第122話 サー・リチャーズ・商会

「ミト、仕事してみるか?」  ロジが何か話があるって。真面目に聞く事にした。 「サー・リチャーズの残した会社があるのは知ってるだろ。私は経営には直接関わっていないんだが、筆頭株主ではあるんだ。貿易会社だ。  主に紅茶を扱って来たんだ。私の収入はほとんどその株から得ている。」  ロジは派手な生活はしていないけど、小さな所でいろいろこだわりがあるから、結構生活にお金がかかってるのは一緒に暮らして気がついていた。贅沢が身についている。教員の報酬だけでは足りないだろう。 「僕、何も出来ないよ。 中学だってまともに行ってないし、」 「ポスターに出てみないか? この前、来客があっただろう。昔から会社を任せている人が、決算報告とサインを貰いにきたんだ、たまに来るだろう?その時ミトを見かけて、そんな話が出たんだよ。」 「え、僕そんなの無理だよ。」 「ミトは自分の事、わかってないな。 その美貌を大勢の前に晒すのは、ちょっと考えてしまう。私だけのものにしておきたい。  それはミトの可能性を潰す事になるのかな?」  会社の人が来るって。宣伝部の人とカメラの人。この前ロジが撮った裸ネクタイの写真?が気に入られたらしい。  数日後、撮影スタッフの人が何人か来た。 「あなたがミト君ね。素敵、美人だ。 写真より素敵。ロジャー先生に写真見せてもらったのよ。」 スタイリストだっていう人が言った。 「ロジャー先生、隠してたのね、こんな可愛い人。」 「ミトは私の妻だから人に見せる必要はない、と思うのだが。」 スタッフの人は納得したように頷いた。

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