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第123話 ポスター

「少しデモ・スチールを撮りたい。屋外がいいな。」  何故かTシャツとジーパンで上に皮のライダース・ジャケットを羽織って庭に出た。ハイカットのバスケット・シューズをはかされた。 「芝生の上を、少し走って飛び跳ねて、」  朝起きて顔を洗っただけで普段のままだ。髪も起きた時のまま。スタイリストが手でクシャクシャにした。ミトのクセのある、柔らかな髪が揺れる。 「笑って。いいよ。いいよ。 少し意地悪そうに笑って。下を見て。 上目遣いでこっち見て。」 カメラマンが言うのを必死でやって見る。 「出来てるの?これでいいの?」 「いいよいいよ。じゃ車のそばで撮ろうか。」 マイバッハの横に立った。  ロジが笑って見てる。 「ちょっと脱いでみようか?」 「えっ?」 「大丈夫、Tシャツだけ。素肌にライダース羽織って。うーん、やっぱりネクタイがいるわね。」  ロジにもらった燻し銀色のドックタグペンダントと細いネクタイだけの上半身に腰履きのジーパンからボクサーパンツのロゴが見えてる。 「いいね、ちょっとセクシーで。」 カメラマンが 「両手を上にあげてジャンプして見て。」  手を上げたら腹筋が丸見えだ。細い腰が見える。この頃筋肉が付いて少し逆三角形に近づいた上半身がほとんど見えてしまっている。 「そのまま回って。目線こっちに。 はい、いいよ。」 試し刷りのようなスチール写真がもうプリントされて何枚か出来て来た。

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