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第124話 ポスター
「凄い、可愛い、カッコいい!」
「私の思った通り、凄くいいわ。」
紅茶の宣伝にしても紅茶なんかどこにもない。
「紅茶の会社のポスターだけど、紅茶は映らなくていいんだよ。イメージポスターなんだ。
ブランドイメージ。今度はスタジオでクラシックなフォーマルスタイルで撮りたい。」
ロジが僕を抱いて頭を撫でてくれた。
(僕、26才になるんだよ。大人の男なのにロジはいつも子供扱い。)
「ミトを皆んなに見せるのは、惜しいなぁ。」
ロジがそんな事を言っている。
数日後、今度は都内のスタジオに連れて行かれた。小鉄が来ていた。ミトのヘアメイクは小鉄が担当。ロジの要望だって。
小鉄は、今日は仕事だから男性の格好のイケメン。なんか男らしい。
スタイリストが用意したのは、クラシックなスリーピース。ベストにも襟が付いている重厚な印象のスーツ。ズボンもツータックで太い。靴は白と黒のコンビのウィングチップ。昔っぽい。
小鉄が髪にワックスをつけて横に分けられた。でも前髪を1束崩して目にかかる。なんか気障な感じ。そしてメイクもするのだ。
この前の中性的なメイクじゃなくて、男らしいキリッとしたメイク。太い眉に目元を強調するメイク。
「カッコいい。」
「ミトちゃんイケメン。」
「男っぽいわ。」
小鉄も笑っている。ロジも笑っている。
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