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第126話 ポスター
「ロジ、なんかこれ僕のことじゃないみたい。」
テレビを見て、話題になっているのを
他人事のように言っているミト。
「ミト、ここにおいで。」
ロジの膝に乗って甘えている。
「他にも、ミトを起用したいっていう企業がたくさんあるらしいよ。どうする?」
ミトはロジの首に抱きついてキスしながら
「もう嫌だ。顔出すの。
買い物に行っても知らない人が指差して来る。
ロジもイヤでしょ。」
「そうだね。」
もっと困った事がある。ロジはミトの性癖を暴露した週刊誌を目に触れない所に捨てた。
それでもマスコミは追いかけて来る。
「紅茶王子はホモセクシュアル。」
センセーショナルな見出しが踊っている。テレビも見せないようにしていたが、全てを隠せる訳でもない。ミトの知る事となった。
「どうして僕のことホモとか言って面白がるの?
僕、誰も傷つけてないのに。」
ハジメがタカヒロと一緒に飛んできた。
「ロジ、これは一体どういうこと?」
タカヒロが泣いてるミトの手を握った。
「ミト、大丈夫?」
ハジメが
「ネットなんかも見ない方がいいな。
くだらない奴が多い。」
ミトはタカヒロにハグして涙を拭いてもらっている。優しく髪を撫でて、
「大丈夫、大丈夫。
すぐ忘れちゃうんだよ、みんな。」
ミトは何故かタカヒロに抱きついて離れない。
タカヒロは今までゲイであることで散々嫌な思いをして来た。なまじイケメンなので、よく女の子に告白される。正直にカミングアウトすると、
今度は酷い噂を撒き散らしたり、中傷の標的にされる。そんな思いを乗り越えて、今はハジメと幸せそうだ。
タカヒロの場合は学校とか小さなコミュニティの中で、人々の興味もやがて薄れて行った。
ミトの事は全国ネットで広まってしまった。
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