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第185話 小鉄

「男でも女でもいいのかしらね?」 「好きになったのがたまたま男だったって事か。」 タカが 「オレはかなり早い時期から男しか好きになれないって事を自覚してたよ。」 「ああ、俺もそうだ。女は抱けない、って事で随分悩んだよ。」 ハジメは辛そうに言った。 「何が人を苦しめるの? みんな好きな人と愛し合えばいいだけじゃないの?」 ミトの言葉に、抱きしめてロジが笑う。  問題点は一人一人違うだろう。答えは出ない。 答えを出す必要もない。  久しぶりに麻布のゲイパーティに来ている。 ハジメが衆道の爺様達に呼ばれたので、ついでにみんなが顔を出す事になった。  おしゃれして出掛けて来た。小鉄はショーに出るらしい。ファンが心待ちにしている。  小鉄の仲間のドラァグクイーンが勢ぞろい、だそうだ。一見の価値がある。  何年か前、店をオープンしたとき、最初にここでドラァグクイーンのショーをやろうと言い出したのは、小鉄がパリのムーラン・ルージュに憧れたからだ。ラスベガスで見たドラァグクイーン、ディバインのショーも素晴らしかった。  メイクアップアーティストでもある小鉄は、たちまち夢中になった。美しい男たちが派手な衣裳と化粧で踊るステージ。 「今日はジョーちゃんがいないの。 所用で、ステージに出られないって。後でみんなには会いに来るって言ってるけど。」 寂しそうな小鉄だった。

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