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第188話 奥のご老人

 ハジメは今ひとつこの爺様たちの正体に詳しくないが、自分の父親とも繋がりがありそうだ。  衆道という事で、彼らもゲイだから男色にも理解がある。とにかく、金と力を持っている。 「俺、タカヒロを愛しています。一緒になろうと思っています。  いつも見守ってくれて感謝してます。 俺に何か、させたい事があるのでしょう?」 「ワシらは年だから、野望も無いんだよ。 何か勘違いしてはいまいか?  ゲイのおまえたち若者が平和に暮らせれば、何も他に望むものはない。 気にしないで楽しんでくれ。 ハジメ一人面倒見るのは簡単な事なのじゃ。」 「ありがたいお言葉です。 俺は何をしたらいいのか、おじ様たちに何を恩返ししたらいいのか、ずっと気にかけていました。」  ハジメの経済的な面は、全てこの老人たちから出ていた。潤沢な資金。何の見返りも求めて来ない。遊び人のような暮らしも、彼等が支えていた。 「これからはタカと二人、固い職業に就いてやっていこうと思っています。」 「ハジメはつまらない奴になったなぁ。」 「えっ、勘弁してくださいよ。禅問答ですか? ま、これからです。これからの俺を見ていてください。」  ハジメがVIP席から戻って来た。何だか吹っ切れたようにサバサバした顔をしている。 (何か、いい事があったのかな?) タカはホッとした。

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