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第191話 バーテンダー傑
「いらっしゃいませ。カクテルはいかがでしたか?」
「なんだ、傑か。ここでバーテンダーやってるのか?自分の店は?」
この倶楽部のバーテンダーだという、クールなイケメンがやって来た。何だかハジメに似ている顔立ち。ハジメほどマッチョではないが、やはり背が高くてスマートだ。
蝶ネクタイをしているからバーテンダーなのだろう。
「こいつは高任傑(たかとうすぐる)俺の従兄弟。
今日のカクテルはおまえが作ったのか?」
ニコニコしている顔がハジメにそっくりで見惚れるほどハンサムだ。
「ハジメが嫁を連れて来てるって、奥のご老人に聞いたから顔を見に来たんだ。
ロジャー先生、お久しぶりです。ミトちゃんは相変わらず妖精のようだね。クラクラするよ。」
ハジメがタカを紹介する。
「傑、タカヒロだよ。俺の嫁だ。親父を敵に回しても守りたい、俺の命、だ。」
タカはくすぐったそうにしている。
「初めまして、柳貴裕です。まだ学生なんだけど
ハジメと暮らしてます。」
「やあ、初めまして。従兄弟の傑です。
今日は出張バーテンダーで、いつもは麻布のこの近所でオーセンティックバーをやってます。
タカさん、カッコいいね。ハジメにはもったいない。」
意外な人物の登場だ。ハジメの名前が「高任一」
だと知った。
「ロジはハジメの従兄弟の存在、知ってたの?」
「いや、傑がハジメの従兄弟だったとは、な。
何処かで見た顔だ、とは思っていたんだ。
前は傑のバーによく行ったものだ。」
「デートに使ってたんでしょ。ユーツーと会う時とか。」
「ミトはそんな事覚えてるんだな。そうだよ、
ユーツーが人気商売だから、秘密のデート。
あの頃はワクワクしたものだ。
そんな思い出も今は色褪せたなぁ。
ミトを知ったからだ。愛してるよ。」
ミトは熱い口づけを貰って機嫌が治った。
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