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第145話 ガレージ
しばらく落ち着いた日が続いたが少し懸念もある。ロジは工事を頼んで、ガレージを大きく丈夫なものに変えた。田舎なので敷地は広いから、3台分くらいゆったりと駐車出来るようにした。
小鉄のフェラーリテスタロッサとハジメのレンジローバーイヴォーク、そしてロジのメルセデスマイバッハが並んで停められる。
ネットでミトのことを中傷する書き込みが絶えないため、万が一の対策だった。
実際に真っ赤なペンキが敷地の入り口の門にかけられた事があった。もう家が特定されているらしい。今の所、門から中には入って来ないが。
「酷いことするなぁ。ここまで来た奴がいるんだ。警察もパトロールを増やすって言ってるけど。」
ハジメが来て怒っている。
「気持ち悪いね。ミト、心配だったらオレたち、しばらく泊まり込んでもいいよ、」
タカヒロが言った。
「うん、忙しくないなら来て欲しいな。」
ミトは嬉しそうに言った。
「久しぶりに4人っていうのも楽しそうだな。
私は少し仕事があるが、書斎にこもって仕上げるとしよう。」
また、書斎の奥の和室がハジメとタカヒロの部屋になった。
ミトは嬉しそうだ。タカヒロも4人の生活が楽しそうだ。たまに小鉄もジョーちゃんを連れて遊びに来る。前よりも頻繁に来るようになった。賑やかで楽しいわが家、という感じ。
しかしハジメの瞳の奥に暗い情念が熱を持ち始めた事にロジだけは気付いていた。
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