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第146話 ハジメの想い

(そばにいると思いが募る。タカヒロを愛しているんだ。それなのにミトを欲しがる自分の心を持て余す。)  ハジメはミトと一つ屋根の下に暮らす事がつらい。蛇の生殺しのようだ。それに気づかないロジではない。  朝起きて一目で昨夜の行為の激しさがわかるようなタカヒロだ。ハジメと二人で風呂に入る。 「ハジメ、この頃毎晩、激しいね。オレ、身体が持たないよ。」  ハジメに甘えるタカヒロはしあわせそうだった。ハジメはその目に、燃えるような炎を宿している。ロジにはわかる。その炎が誰に向けられているのか、が。  ミトを抱きながらソファで優しく口づけしているロジを見る、苦痛に耐えているようなハジメの顔。ロジだけが気付いている。 「ハジメ、朝ごはん、何食べる?タカヒロは? 僕、ロジにフレンチトースト作ってもらいたいな。」 ロジの膝で甘えてそんな事を言っている。 ミトを抱きながら 「みんなの分を作ろう。これだけは誰にも負けない自信があるぞ。」  ロジの肩に抱きついてキスしながら 「うん、後でお礼してあげる。」 二人だけに通じる言葉だ。赤くなったミトが可愛い。いつもフレンチトーストの後は、フレンチスタイルの口でするセックスがお礼なのだ。 「お礼って?何がいいの?」 何も知らないタカヒロが困った顔をしている。 「タカはいいの。ロジと僕のお約束、だから内緒。」 可愛らしいミトに、ハジメは奥歯をかみしめる。 (ああ、ミトを想いのままにしているロジが羨ましい。羨ましさを通り越して憎しみが湧いてくる。 俺、ヤバいな。)

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