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第199話 音楽

 久しぶりに聞く音楽は思いのほか、友也の気持ちを高揚させた。 「ここにあるCDは誰が選んでるの?」 「えーと、ロジかな?それと ここに来る人は誰でも好きなCDを持ち込んで聞いてるから、そのまま置いて行っちゃう。特に誰のもの、ってわからないなぁ。  友也はこのCDが好きなの?」 「うん、懐かしいっていうか、懐かしい人を思い出す。」  ミトが隣に座って腕を組んで来た。なんか近いなぁ。緊張する。ミトはスキンシップが好きなのだ。 「なんか、都会的な大人のイメージの曲だね。 思い出すのは友也の好きだった人?」 「えっ、違うよ・・」 「友也はピアノ弾けるんだね。ロジの書斎にピアノ、あるよ。弾いてみる?」 「無理だよ。何年も鍵盤触ってない。」  そこにロジが帰って来た。 「やあ、友也いらっしゃい。」 友也はサッと緊張した。 「あのね、ロジの書斎のピアノ、弾いてもいい?」 「ミトが弾くのか?調律はしてあるから弾いていいよ。」  嫌がる友也を書斎に連れて行った。積み重なった本の奥にスタンウェイがデンと鎮座していた。  連弾でもするみたいに友也と並んで座った。 「音出してみよう。」 ミトがショパンの別れの曲、を弾いた。 「ミト、弾けるんだね。」 「うん、暗譜で弾けるのはこの曲だけ。他は楽譜が必要だ。」

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