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第202話 不安

「いくつになったの?もう大人でしょ。 セックス出来るんだから。」 「今26才だけど、親と住んでるし、就職もしてない。」 「一流大学出てるんでしょ。大学院生だったよね。就職出来るんじゃない?」  友也は、自分の人生が他者によって決められてしまうのを恐れた。現実逃避してしまいたい。 いずみちゃんのアパートでまたセックスしてしまった。したくないのに流されて行く。 (ミトに浄化されたい。ミトなら僕の汚れた現実を何とか救ってくれるはず。) 根拠のない妄想に浸る。  いずみちゃんの部屋で、裸で抱き合いながらここから逃げる事ばかり考えていた。  ハジメとタカが自分達のマンションに帰って来た。家を特定されてミトに危害を加えられる心配も、少し落ち着いて来た。  二人は、これからの計画を話し合った。 「何か面白い事をやろうと、いつも考えて生きて来たけど。 タカは学芸員になりたいんだっけ、博物館の。」 「うん、そう。面白そうでしょ。 ずいぶん前だけど、うちの教授のコネで国立博物館の倉庫を見学する機会があった。面白いものがたくさんコレクションされている。展示されてるのはそのなかのごく一部だ。興味深いよ。」 タカの目がキラキラしていて魅力的だ。抱き寄せて口づける。 「ハジメ、ダメだよ。何も考えられなくなっちゃう。」 ハジメの広い胸に抱きすくめられた。 「タカが俺を忘れているからさ。」 「忘れてないよ。」  タカの将来にハジメがいないような気がした。 この寂しさは、なんだ?  いつも二人で愛し合う。いつも一緒にいる。 タカは幸せそうだ。 (でも、俺には何がある?)

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