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第203話 高任傑
BAR高任(たかとう)。ハジメの従兄弟、傑(すぐる)の店。タカと来るのは初めてだ。
「やあ、いらっしゃい。
今日は嫁さんと一緒かい?」
カウンターの中に傑がいた。バックバーが凄い。見たことの無いような酒瓶が所狭しと並んでいる。ジャズとシングルモルトの店。いい雰囲気だ。しかし客がいない。
「マッコイ・タイナーがかかってるね。
レコード盤見るのも久しぶりだな。」
「ハジメ好きだったな。2020年に亡くなったけど。 何飲む?」
「お勧めは、アイラモルトか。俺はラガブーリン。常温で。」
タカは困った顔をした。ウヰスキーの事をよく知らない。
「アイラはクセが強いから、ブナハーブンあたりをトワイスアップで飲むといいよ。」
「タカ、ウヰスキー飲めるか?
それとも何かカクテルにするか?」
「大丈夫。お勧めのブナハーブンにするよ。
トワイスアップって?」
「常温のウヰスキーと常温の水を半々にして飲むんだ。香りが開いて飲みやすいよ。」
店は大人のムード。異空間に迷い込んだみたいだ。緊張しなくても大丈夫。この店はスマートなタカによく似合ってる。
「傑さん、ハジメにそっくりだね。」
髪も長くて後ろで一つにまとめている。二人、顔がよく似ている。ハジメの方が少し筋肉質。がっしりした肩とか。やはり似ていても見分けはつく。
「子供の頃は双子と言われたな。」
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