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第213話 エピキュリアン

 ロジを知ってる人なら、とんでもない教育者だというだろう。エピキュリアンで無責任、自由奔放で熱い、男、だ。 ロジの独白 ・・私がエピキュリアンだって? 享楽的か、という意味かい?  自由に人生を謳歌するというなら、それもある。  快楽主義ならその方が楽しそうだ。  己の欲に忠実に、快楽を追い求める事を人生の目的とするのなら、それもよかろう。  私の人生に正解などない。ただミトがいるだけだ。ミトが全てを司る。わたしの人生を、快楽で満たしてくれる。  ミトに溺れていよう。・・ 「ロジ、抱っこして。」  ミトが膝に乗ってキスして来た。みんな帰って今夜は二人きりだ。ゆっくり愛し合おう。  腕の中のミトは頬を擦りつけて来る。 「眠たいのかい?寝かせないよ。」 「あは、ロジ、いつもの事だね。」 両手で首に抱きついて顎髭に口付けて来る。可愛い。顎を掴んで顔を見つめると 「ロジ、いい匂いがする。ロジの匂い。 クンクン。」 「犬みたいだな。」 「じゃあ、ワンちゃんにもキスして。」 可愛い。もうどれくらい一緒に暮らしているだろう。決して飽きたりしない。いつも新鮮な感動を与えてくれるその唇。激しく貪ってしまう。 「ミトはロジといて、楽しいか?」 「えっ?うん、楽しいよ。いろんな人が来るし。」 「じゃあ、誰もいない二人っきりの世界でも、ロジを愛してくれるかい?」 「うん、ロジだけいればいいよ。」 「本当か?いつも抱き潰しても、か?」 「うん、大好き。」 可愛い。こんな華奢な、少年の面影を残しているのに、性愛には貪欲だ。可愛い。私の性技にどこまでもついて来る。愛しくてならない。 「今夜は優しく抱き合って眠ろうか。」 「うん、いいよ。」 首に手を回して抱きついてくる。何もしないでいられるだろうか。  慣れ親しんだ寝室のベッドの上で、ミトを抱き寄せて眠る。天井の鏡に写る幸せそうなロジの顔。 (ミトがいればいい。それだけで。)

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