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第217話 レオン
「ホテルって、今頃入れるのか?
予約もしてないんだろ。」
「だってこんなに酔っ払うと思わなかったもん。傑が飲ませたんだよ。
酷い店だ、って六本木中に言いふらすからね。」
「おまえ、酒癖悪いなぁ。
私の家に連れて帰るしかないか。
レオン、ゲイじゃないだろうな。誤解されるよ、そのおばちゃんに。」
外に出てドアに鍵をかけていると、ハジメとタカが来た。
「えっ、今日は、もう終わり?」
「お客さんが酔っ払っちゃって、
住まいがわからないし、私の所に連れて行こうか、と思って。」
ふらふらと抱きついて離れない酔っ払いのレオンを、ハジメが肩に担いだ。
「男はこうやって運ぶんだ。
イン・マイ・ショルダーって歌詞があったな。」
「ホンキー・トンク・ウーマンだ。」
「良くわかったな。あれはゲイの歌らしいぞ。」
「女の子だったら、お姫様抱っこ、だね。」
嬉しそうにタカは言って、赤くなった。ハジメとタカが初めて結ばれたあのアパートで、お姫様抱っこで、ベッドに連れて行ってくれたハジメを思い出す。重いなって言ってたっけ。
「取り敢えず傑の家に行こう。」
店から歩いて行けるマンションに傑は一人で住んでいる。
「片付いてないけど、どうぞ。ハジメも来るの初めてだよな。」
ベッドにどさりと落とすとレオンが目覚めた。
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