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第219話 レオン
レオンは眠ってしまった。
ハジメが何か、棚のレコードをかけて、しばらく音楽の話になった。傑の部屋はほとんどジャズばかりだが、ターンテーブルがある。プレーヤーにレコード盤をセットして針を落とした。
「わぁ、渋いのあるな。ジョン・メイオール。あ、ブルース・ブレイカーズ。ラヴィン・スプーンフル。おまえ、ブルース好きなんだな。それも特に渋いやつ。」
「ああ、ブルースは何でも好きだよ。マディ・ウォーターズとか。古いのも好きだ。」
「ヤードバーズとかもあるな。お宝だな。」
マンションのベランダに朝日が差し込んで来た。
「俺たちはそろそろ帰ろう。朝帰りだ。
帰ってタカを抱いて寝るよ。」
「よく言うよ、まったく。」
傑が下まで見送ってくれた。
ハジメとタカのマンションまでは歩いて帰れる距離だった。
傑はソファに横になった。ベッドはレオンに占領されている。少し眠っていたら、いきなり覆い被さってキス、された。
「わっ、何だよ。起きたのか?大丈夫か?
二日酔いは?」
レオンが起きてきたのだ。いきなりキスして来るとは。
「何だよ。寝ぼけてるのか。」
寝起きの顔が幼く見えた。無防備なレオン。
傑は起き上がってレオンを抱き寄せた。レオンは抵抗しない。もう一度、キスをした。
「いいのか、おまえを抱いて。」
半信半疑で口走った。嫌がって逃げるだろう。
コイツはノンケだったはず。
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