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第222話 レオン

「いきなり呼び捨てとは、六本木の帝王、あの円城寺さんとも思えない、ご挨拶ですね。」 「傑ちゃん、勘弁してあげて。この人、今、冷静で居られないのよ。店のナンバーワンと恋人を一緒に無くしてしまいそうなんだから。」  以前からの知り合いだという小鉄がかばった。 「え、恋人?」 「ああ、レオンが浮気するのはいつものことだが、何の連絡も無く1か月も帰ってこないなんて事は初めてなんだ。 おまえが隠してるんじゃないのか?」  レオンはいつも「バー高任」のマスターが超好みのタイプだ、と公言していたそうだ。  傑の知らないところで、名前が売れていた。そんな名の売り方は望んでいないが。 「円城寺さん、私も、ひと月ほど前にこの店に来てくれて以来、レオンさんにはお会いしていません。いったい何処へ行ったのか、想像もつきません。ご心配ですね。」 (もしかしてあの不動産女王に拉致されたとか?) 傑は漫画のような事を考えた。  傑の日々は変わらない。たまに顔を出すハジメに心を乱されながらも、タカとの仲の良さに、諦めの境地だ。顔を見られるだけでいい、と自分を納得させている。  今夜は早い時間で客がはけた。早いが店を閉めて帰ることにした。  マンションのドアの前にレオンがいた。 「傑、早かったね。」 「いつから待ってたんだ?店に来れば良かったのに。」 「だって円城寺に見つかりそうで。ここならあいつ、知らないから。」 レオンは抱きついて来た。

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