また新しいポスターが発表された。きちんとしたスーツ姿で、クラシックな雰囲気のセピアカラーのポスター。イギリスの貴族のように気取ってお茶を飲んでいる。 　今度は盗まないでちゃんと断って手に入れた。スーパーの女の子が 「このポスター、欲しいっていう人が多くてこれで最後なんだけど、あなた毎日これを見に来るから特別、ね。」 　その人は親切だった。ポスターと一緒に電話番号を書いた紙を渡してきた。 「私、鈴木いずみ。暇な時、電話して。」 「あ、ありがとう。」 　そしてあの日、ミトとタカのキスしてるポスターが出た。 「いずみさん、あのポスターもらいたいんだけど。」 「ふふふ、ただじゃあげないわ。 私とデートしてよ。」 　友也は、その展開を全く予想していなかった。鈴木いずみは、友也を自分のアパートに誘った。 東京に出てきて一人暮らししているという。 友也は学生だが実家暮らしで、いずみの部屋に渋々付いてきた。 「ポスターあげる代わりに私とキスして。」 初めてのキスは苦い味がした。そのままセックスをする事になった。 　いずみもそんなに経験があるわけではなく、二人たどたどしい初体験だった。 　友也は、ポスターのキスしているミトとタカを思い浮かべながら、いずみを抱いた。 　終わってポスターを丸めて大切に掴むと 「ありがとうございました。ポスター、宝物にします。さよならっ。」 逃げるように帰って来た。 　そのポスターをベッドの横に貼るとタカの代わりに毎日ミトに口づけした。 (つらい。ミトは2次元の中から出て来ない。 つらいよ。この手で触りたい。あなたが大切だ、 って囁きたい。) ミトへの想いは募るばかりだった。