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第176話 友也

 大学に行くと、ミトのファンだという女の子たちが集まって騒いでいた。 「僕もミトのファンなんだ。仲間に入れて欲しい。情報交換しよう。」 思い切って話しかけた。 「友也ぁ、新情報! ミトってもしかするとゲイかもしれないって。 ポスターでカッコいい男の子とキスしてたでしょ。タカっていう。あれマジラブみたいよ。」  友也は、この前の経験で自分ももしかするとゲイかもしれない、と思うようになった。  いずみを抱くのは結構つらいものがあった。 いずみはいい子だけど、友也は異性に何も感じないのだ。いつもいつも頭の中はミトの事ばかり。 これはゲイっていうことなのか?  童貞は捨てたが、ゲイの経験はない。ただ、ミトが欲しい。来る日も来る日もミトで頭がいっぱいなのだ。ミトがゲイなら誰がミトを抱くのか? ミトを思い通りにしている奴がいるのか?  友也は気が狂いそうだった。 SNSに自分のつらさを書き込んでみた。反応が面白い。身バレするのが怖いので同じ研究室にいる学生のアカウントを乗っ取る事にした。  いつも真面目で頭のいい目立たない同級生のアカを使うことにする。名前も生年月日も、何とパスワードまでパソコンに貼り付けてあるのだ。  奴のパソコンには、興味を引く事は何一つなかった。 「尊って、なんてつまらない男だ。 何かワクワクするような事とか、人に言えない秘密の性癖とか、私生活で変なクラブに出入りしてヤクなんかやっちゃったり、とか、面白い秘密はないのかよ。」  尊の真実を知ったらどんな顔をするだろう。

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