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第236話 傑と礼於
今までセックスは身体だけの付き合いに限定して、心を開いたことはない。
今は礼於の身体中が愛おしい。ただ抱き合って肌の温かさを感じていれば幸せだ。
いつも我慢出来なくてセックスにつながってしまうが、何もしなくてもいいのだ。
「礼於は、セックスが好きなのか?」
「そんなこと、直球で聞くの?」
「いや、して欲しいのなら、頑張るよ。
私はいつも礼於が欲しいんだ。」
首に腕を回して抱きついてくる。
「ボクもすぐ、傑が欲しくなっちゃう。」
傑の大きな手で頭を撫でる。ベッドのシーツの中に二人で潜り込む。
「ひとつ、聞いてもいいか?」
「何?」
「礼於はいくつなんだ?何才?」
「ああ,言ってなかった?
石崎礼於、19才です。もうすぐはたち、だよ。」
「若いなぁ。酒、飲ませちゃいけなかったんだな。」
「店では23才、とか言ってた。」
「礼於を独り占めして、申し訳ないな、お客さん達に。」
礼於がキラキラした眼で見つめてくる。
「大好き。」
(なんて可愛いんだ。毎日愛が深くなる。
抱き合って、お互いの気持ちいい所を探して愛し合う。身体中全部が愛しい。
誰がこんな生き物を私に与えてくれたんだ?)
「礼於を抱きしめると、いつも不思議な気持ちになる。今まで礼於無しで、私は本当に生きていたのだろうか?ってね。」
「あ、ボクも同じ事,考えてた。
ボクたち、出会うまで、お互いを知らないで生きてたんだよ。もう傑無しでは生きていけないのに。」
キスした。これ以上どうやったら一つになれるだろうか?
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