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第4話
「愉しい夜になりそうじゃ……」
そう言って、少尉は義三郎の下腹部に手を触れ、股間まで滑るように下ろす。
そのいやらしい手つきに、義三郎は長らく忘れていた感覚に襲われ、思わず眉を寄せ、背筋を震わせて反応してしまった。
男しかいない軍隊の中で、義三郎は本能的な欲求だと思いながらも己自身を慰めるのは浅ましい行為だと思っていた。
故に少尉に布越しでも触れられた事で、押し込めていた欲情が身体の奥底からふつふつと湧き上がっていく気がするのを恥じた。
「先程まで涼しそうな顔をしておったが……こちらは正直じゃな」
ベルトに手をかけられ、ズボンを下ろされ、褌の中から熱を持ち始めている雄を握られる。
自分以外の知らない手の感触に、義三郎はもう果ててしまいそうだった。
「ぅあ……ッ……!!!」
そんな義三郎に、少尉は容赦しなかった。
口に含みながら根元を扱き、あっという間に絶頂を迎えさせたのだ。
「ハハッ、先程までの堅物そうな顔が嘘のようじゃ。良い顔になったぞ?千夜」
慣れた様子で義三郎の放出した精を飲み干すと、少尉は笑って軍服を脱ぎ始める。
子供のような屈託の無い笑顔を浮かべているように見えたが、そこには子供らしからぬ色気が漂っていた。
「わしを悦ばせろ、千夜」
「…………」
これは、命令だ。
身体が本能の赴くままに反応しているが、心はこの行為をそう受け止めている。
それ以外の感情は何もない。
義三郎は少尉と同様に身につけているものを全て脱いだ。
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