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第18話

朝比奈家から士官学校は義三郎の脚で歩いて20分ほどのところにあり、その通り道には勇の通う学校があった。 故に義三郎は勇を学校まで見送ってから士官学校に向かっていた。 「千夜さまとご一緒出来て嬉しいです」 勇は義三郎に好意的でいつも笑顔で接してくれるものの、時折見せる顔の中に朝比奈少尉が重なる瞬間があり、義三郎を戸惑わせた。 士官学校では訓練で学んだ事を伝えたり、実際に隊列を組ませる等の授業の担当をする事になった義三郎は軍にいた頃と変わらず真面目に淡々と仕事をこなし、同僚からも生徒からも無口で真面目過ぎる存在という印象を持たれていた。 「…………」 仕事が終わると、義三郎はその脚で朝比奈少尉の眠る場所に向かっていた。 少尉は林に自分が死んだら葬式は簡素なものにして欲しい、と頼んで出征していたらしく、義三郎が共に帰還して間もなく少尉の葬儀を執り行い、一族の墓に埋葬された。 士官学校から坂を登った先にあるその場所は緑豊かな場所にあり、義三郎に少尉と何度か訪れた温泉のある川を思い出させた。 墓前に手を合わせ、今日も無事に終わった事を報告する。

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