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第24話

「最初は何の娯楽もないから相手をして欲しい、という命令でした。ですが日を重ねるうちに少尉殿はわたしに愛している、と仰るようになりました。その時のわたしは自分が少尉殿を愛するようになっていた事に気づいていませんでした。愛していると言われても、何と返していいのか分かりませんでした」 ありのままの気持ちを義三郎は言葉にした。 それに対して、勇は冷たく笑ったままの顔で義三郎を見つめていた。 「兄さまは千夜さまのお気持ちを知らずに逝ってしまわれたのですね。そうですか……」 笑顔が近づいて来て、もう一度唇を重ねてくる。 「う……んん……ッ……」 身体を引き寄せられ、重なる勇の温もりを感じた義三郎は、封印していた欲情に支配されそうになっていた。 「千夜さま、僕は初めてお会いしたあの日からずっとあなた様をお慕いしておりました。白く美しいあなた様を僕だけのものにしたいと思っておりました」 離れた唇が頬、耳、首筋に触れる。 「だから……兄さまのお墓の前での千夜さまの姿を見た時は胸が張り裂けそうでした。僕がこんなにも愛しているのに、千夜さまは……ッ……」 「……分かっておられるのなら、もうこれ以上は……」 己を戒める為にも、義三郎は勇の震えている腕を掴んで距離を取ろうとした。 「いいえ、いいえ。千夜さま、僕はあなた様が欲しいです。たとえ御心は手に入れられなくても、お身体は僕のものにしたいのです」 「勇殿……」 掴んだ腕を強く握りかえしてくる勇。 一瞬見せた、泣きそうな顔に義三郎は拒む事が出来なかった。

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