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第28話

「う……ッ、うぅ……ッ……」 下半身を不快な感触が襲う。 己の身体の浅ましさに義三郎は涙を流していた。 「泣くほど良かったですか?千夜さま」 「違っ、違います……」 「……あなた様のお身体は素直なのに……」 「ひぁ……ッ……!!!」 勇は冷たい笑顔を浮かべたまま、義三郎のぐっしょりと濡れたズボンの上から雄を握ってくる。 「兄さま、千夜さまが清い御方だったというのは兄さまと出会う前のお話だったのではありませんか?兄さまと出逢った所為で千夜さまは淫らな御方になられてしまったのでは……?」 「う……くぅ……んンッ……」 強引に勇の方へ引き寄せられ、深い口付けを再びされる義三郎。 「兄さま、僕は兄さまを決して許しません。僕に嘘をついて、千夜さまに嘘をつかせ、穢した兄さまを決して……」 違う、違います、勇殿。 わたしが卑しい人間なのです。 わたしが卑しいばかりに貴方の純粋な御心を壊してしまったのです。 どうか、どうかこれ以上兄君に怒りを向けるのはお止めください。 どうか……。 唇が離れると、義三郎は静かに怒りを語る勇に向かって声を絞り出していた。 「……えぇ、確かに千夜さまは僕の心を壊しました。身も心も僕だけのものになってくれると思っていたのに、色欲に塗れた穢わしい兄さまを今でも愛しているだなんて。あんな人のためにご自分を貶めて涙を流されるなんて……」 「うぅ……ッ……!!」 勇は義三郎の耳元でこう言ったあと、首筋に噛み付いてくる。 「ですが、千夜さま、僕はあなた様が思うほど綺麗な人間ではないのです。あなた様が僕に嘘をついていたのと同じで、僕もあなた様に嘘をついていたのです。あなた様の目に見えていた僕……ふたりで旅をするまでの僕は偽りの僕だったのですから……」 冷たい笑顔を浮かべながら、勇は義三郎に帰りましょう、と言った。 「……はい……」 その夜、義三郎は勇の部屋に呼ばれ、気を失いそうになるくらい激しく抱かれた。

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