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第29話

士官学校で勇と顔を合わせる事が増えるようになってから、義三郎は朝比奈少尉の夢を見る事が少なくなっていった。 勇と夜更けまで目交い、疲れ果て、気が付けば朝になっている…という事が増えたからだった。 夢を見たい。 少尉殿に逢いたい。 そう願いながら日々を過ごし、夢を見られた時には心が満たされた。 現実の世界では、勇が士官学校を卒業し、赴任先も決まり、義三郎と離れる時が訪れた。 学校で顔を合わせる事が最後になる日、義三郎は勇に言われ、学校から与えられていた義三郎の部屋で交合う事になった。 「ここで共に過ごせる最期の思い出にしたいのです」 これから先はいつお会いできるか分かりませんから。 勇の願いに、義三郎は応えていた。 校内では何度か授業で顔を合わせる事があった。 その時の勇は穏やかで真面目な青年で、容姿端麗、成績優秀で品行方正、兄を凌ぐ優等生という事で評判になっていた。 それが仮の姿である事は義三郎だけが知る事実だった。 「千夜さまが軍服に身を包み、凛としたお顔で授業をされておられるのを見る度いつもいつも思っておりました。その下に隠しておられる姿を軍服のままで晒けだせたら……と……」 壁に押し付けられながら唇を啄まれ、身体が熱くなっていくのを感じる。 「学友たちは皆、千夜さまの事を堅物そうで近寄り難いが授業は分かりやすくて丁寧だと話しておりました。僕もそう思っていましたが、同時にこんな御方を穢しているのはこの世でただひとり、僕だけなのだと思うと嬉しくて嬉しくてたまりませんでした」 義三郎の軍服のボタンを外し、中に着ていた肌着を捲りあげた勇は嬉々とした表情を浮かべて義三郎の胸元に口付けた。 「う……うぅ……ッ……」 義三郎に跪くような姿勢で白い傷だらけの身体に自分の跡を深く刻みながら、敏感な突起を唇と指で弄る勇。 義三郎は声を出さぬよう唇を噛み、更に口を手で塞いでいた。 「あぁ……そのお顔、たまらないです。僕の行為を悦んでくれているお顔、大好きです」 その手を口元から強引に引っ張ると、勇は義三郎を室内にあった机に倒し、自らの制服のズボンについたベルトで両手を縛った。 「口は貴方様のベルトで縛る事にしましょうか。ここは屋敷ではありませんので大声出さないでくださいね」 「う……んぐ……ッ……!!」 手を縛られ、口も塞がれて、義三郎は身動きが取れなくなっていた。 勇は嬉しそうにそんな義三郎の身体中に自分の跡を遺していくと、ズボンを下ろして既に隆起している雄を掌で包んだ。 「ンん……ッ……!!!」 もっと刺激が欲しくて、義三郎は無意識のうちに腰を揺らしてしまう。 「千夜さま、そんなに腰をくねらせて僕を誘って、待ちきれないのですか?」 「う、うぅっ、うぅぅぅッ……!!!」 数回扱かれた後、突然、勇が根元を握って登りつめていく義三郎を縛める。 吐精を禁じられ、行き場のない熱情が義三郎を襲った。 「そんなに瞳を潤ませて見られると……もっと良い顔が見たくなります……」 「ゔっ、んぐっ、ゔゔゔ……ッ……!!!」 精を吐き出したくて仕方なくなっているところに、勇が孔に舌を這わせて追い討ちをかけてくる。 「ゔゔっ、ゔーーーーーーッ……!!!」 そこを音を立てて愛撫され、舌を内部まで侵入されて義三郎はあまりの快感で身体を震わせ仰け反ってしまった。

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