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第6話 蛼 翼
あの変態男の元で勉強するようになったのは父からの勧めだった。
同じ議員の小笠原の息子は頭がよくあの有名大学に所属しているというのだ。
正直なところまぐれで入ったのではないかと思い、いろいろとこちらから問題を出したところ一瞬で回答してきたのだ、これは本物だ。
と思ったしかし例の寝室事件から同じ高校の青山誠とは幼馴染みであり隣の家でありなお、意中の相手とみた。
正直に言って僕は変態男にすがっている悲しい生徒の一人だ。
あの事件さえなければ軽蔑することもなく大学受験だけに集中することができたのだが。
夏休みに入る直前にそのことを知ってしまい、夏休み明けでは青山誠を目で追うことが増えてしまった。
小さいくせにバスケ部の副部長でレギュラーもとっている。
普通のごく普通の生徒だ。
だがあの変態男は自分のものにしようとなにやら種をまいているらしい。
誰が誰とくっつくなんて正直どうでもいい。
でもたまに思うこともある。
こちらに走ってきた。
「あ、優等生くん! ゴミ当番俺もだから一緒に行くよ」
……、きっと僕の目がおかしくなったんだ、ちっこくて可愛いと思ってしまうようになった。
「優等生くん?」
178cmと163cm 15cm差か、世に言う萌え高さなのだろうか
「あ、古川」
「青山、今日放課後自主練入った、後合宿の調整を先生が話すって」
「了解」
古川は相変わらず電信柱だ。
189cm
189-163……26cm
いいのか? これは萌えどころの話ではない。
「おー部長と副部長みっけ」
「木下、お前放課後集まりな」
「えー俺自主練の予定なのに」
「一昨日ワクドナルドで合宿の調整するって言ってたろ」
「あーそうだった」
「合宿?」
「ああ、そうバスケ部毎年行ってるんだけどさ、やっぱ他校も一緒にが練習になるよなってことで合同合宿になったんだよ」
「そうなんだ」
「そういえば、優等生くんってなんの部活入ってるの?」
「え、僕は帰宅部だよ、受験もあるし親にダメって言われてるしね」
「そうなんだ」
「そうそう、早くゴミ出してこようよ」
「そうだな」
月曜日、帰宅する前に家庭教師の元に向かう。
「いらっしゃい」
「どうも、おじゃまします」
荷物を置いて封筒を出す
「これ、今月の月謝」
「ああ、ありがとう」
「あと、これ新しい写真」
多分僕も変態の領域に入ってしまったのかもしれない、いやお小遣いが欲しいだけだ。
「ああ、助かるよ、学校での様子なんかは見られないからね」
といい月謝袋の中から数枚こちらに渡してきた。
「これだと少ないかな?」
「……いや、いいです」
クラスメイトを売る、そんなことはしたくないけど、でも僕のスマホにも彼の可愛いさを残しておきたい。
そんな気持ち誰だってあるはずだ。
「じゃぁ始めようか」
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