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第十二章 1

  ** 第十二章 **  年が明けて、三日。  僕は今市内では有名な神社。  ──の横にある公園にいる。  朝八時過ぎ。  寒い冬の、こんな時間に遊んでいる子どもは見当たらなかった。 『金森先輩が初詣行かないか~って』  大地からLINEを貰ったのは、昨日の夜のこと。  突然の提案だが、特に用事もなかったし、初詣もまだだったのでOKの返信をした。  待ち合わせ時間は八時半。神社が混んでいるかも知れないことを考えて、隣の公園で落ち合うことにした。  大地と明はたぶん同じバスに乗って来るだろう。  僕は調度良いバスがなかった為、少し早めに着いて公園をぷらぷらしている。 (バスには乗ってなかったけど……。  もしかして、いっくんも……?)  昨日から何度も思っていた。  すぐ近くに住んでいるというのに、偶然会うことはそうそうない。  かと言ってたいした用事もないのに、わざわざ家を訪ねるというのも、今の僕らの関係ではする勇気もない。 (メイさん……。  いっくんにも声かけてくれてるといいな……)  樹がそれに応じるかどうかはわからないが。  ぐるぐるぐるぐる公園を回りながら、気持ちは上がったり落ちたりしている。 (それにしても……。  大くんとメイさんて、連絡取り合ったりしてるのかな)  大地は明から連絡を貰った──連絡先を交換しているということになる。  入学当初はあんなに毛嫌いしていたのに。 (でも、最近の二人なら可笑しくもないかな。  大くん、そんなことまったく言わないけど)  そんな余計なお世話的なことまで考えていると。 「七星~~何ぐるぐる回ってるの~?」  下から覗き込んで手を振っていた。 「あれ、大くんいつの間に」 「さっきから声かけてたよぉ」  と、明の声。  顔をあげると、上下黒のレザー姿の明もすぐ傍に立っていた。 「あれ、メイさん、髪が……」  初めて会った時から明の髪はずっとオレンジ色。派手過ぎて最初は怖かったけど、今ではすっかり見慣れていた。  でも、今日の髪は。  朝日が当たると少し茶色に見えるかというくらいに、黒に近い色。  落ち着いてて、尚且つ肌の美しさが際立つ。 「あーそうなんだー。正月はどうしてもねー。いろいろあってねー」  顔を顰める。  明はそういう自分を余り好ましく思っていないようだ。 『いろいろ』の部分は説明なしだが、家庭のことと関係があるのだろうか。 「俺は全然その方がいっすよー。昔の金森先輩みたいで」  大地は妙に嬉しそう。 (ん?   ああ、そうだよね。  小中同じだから、知っててもおかしくない……かなー……?)  大地の明に対するあれこれは、謎に包まれている部分も多い。 「え? そう?」  一瞬嬉しそうにするが、ぶんぶんと顔を横に振る。 「いやいや。また元に戻すから」 「なんでだよー!」  

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