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59 愛しさが増す

「腹へった……」  結局昼過ぎまで二人でベッドの中で弄りあって過ごし、このまま眠ってしまおうかと心地良さに負けそうになっていたところを理玖の一言で引き戻された。 「なあ、どこか食べに行こうよ。デートしよ?」  半身俺の上に乗りながら、理玖は楽しそうにそう言った。このままずっと互いの肌が触れ合い密着しているぬくもりに幸せを噛み締めていたい俺は「うーん……」とごにょごにょ言葉を濁し理玖を抱きしめる。ぐるりと体勢を入れ替え組み敷くと、再び硬く滾りはじめた自身を理玖の股間に押しつけた。 「待ってよ、もう……ダメだってば」  そう言いつつも、さほど強く否定しない理玖はモゾりと布団に潜り込む。さっきは理玖のペースで終わってしまったから、今度はお返しと言わんばかりに俺は理玖の体を開いた。  俺より年上の理玖。でも一糸纏わぬ姿は華奢で細く、幼さが増して見える。俺と出会う前は強すぎる抑制剤を常用し、ひどく体を壊していたらしいからきっと今以上に細かったのだろう。自分の性をひた隠しにし、虚勢を張り必死に生きてきた理玖が愛おしくてしょうがない。もっと早く出会うことができたならそんな苦労などしなくてもすんだのに…… 「理玖、愛してるよ。ダメじゃないよな? もう一回、しよ?」 「……もう、しょうがないな。優しくしてね」  全然断るつもりもなさそうな理玖の足を遠慮なく掴み上げ、秘部を晒す。「ちょっと!」と少し慌てて恥ずかしそうな様子の理玖も可愛くて思わず足指にかぶりついてしまった。 「やだっ、そんなところしゃぶるな! 変態!」 「どこもかしこも舐め回したいくらい好き……」 「やっ……ちょっと、いいから……慣らさなくても大丈夫だから! あっ、舐めないで、やだ」  さっきまで俺を咥え込んでいた柔らかな後孔に舌を這わすと慌てて理玖は腰を引くから、わざと強引に顔を埋めた。自分が責め立てるのはなんともないくせに、俺が強引に進めると恥ずかしがって善がるのが堪らない。 「今度は俺がゆっくり奥まで挿れてやるからな……いくよ、いい?」 「あ、あ……あぁ、やっ……待って、深い……あっ、あっ!」  理玖を逃さないよう両腕で抱き抱えたまま腰を深く沈めていく。抉るようにゆっくりと律動させれば悩ましく理玖は熱い息を漏らした。理玖の内を確かめるよう奥へ奥へと腰をすすめると「やだ、奥……怖い」と理玖は逃げるように腰を引くから俺は逃すまいと更にその腰を引き寄せる。  当たり前のことだけど、番いの契約を交わしてからは更に理玖への愛おしさが増している。一度触れ合ってしまえばもう一瞬たりとも離れたくなくなってしまう。自分がこんなにも独占欲が強かったのと改めて思い知らされる。俺の腕の中で、俺を感じて抑えきれずに嬌声を漏らしている理玖が涙目になって俺を見つめる。「ああ、好きだ」と言葉を零しキスをすれば、理玖もそれに応えて「愛してる」と囁いてくれた。 「理玖……イキそう、理玖、んっ……理玖、イく……」 「あっ、あぁ……あっ、あ……翔、奥……ダメ、あっ……あっ!」  思わず理玖を抱え込んだまま、奥へ奥へ滾りを押し付け吐精する。理玖は軽く身震いするとすぐに脱力したように身を投げ出した。 「気持ちよかった?」  俺は「優しくして」と言っていた理玖を思い出し、申し訳なくなり遠慮がちに聞く。理玖も俺とほぼ同時に欲を吐き出していたから、ティッシュに手を伸ばし汚した腹を拭いてやった。 「……よかったよ。でも……奥はまだ……怖い」  

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