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第8話

それから少しして鏡に映る俺はこれまでしたことのない髪型になってた。 「ひょっ…ひょうりっ!!」 それを見て自分が施したくせに顔を真赤にさせて何だかもじもじしてる大男 「好きだ!!俺と付き合ってくれ!!」 「はい!?」 突然とんでもないことを言われて変な返事をしてしまった。そしたら男はガバリと俺に抱きついてそのまま抱き上げると奥の部屋に俺ごと引っ込もうとする。 「あぁ!!嬉しいっ!!嬉しいなぁ…このまま全て俺のものになってくれるなんて!!」 男は抱き上げたままの俺のそれに自分の自分を擦り付けながら息を荒くしている。器用な男だ。なんだかにいちゃんとした余韻が残ってて俺のもゆるく起き上がる。 「んん…当てないでよぉ…」 男が息を呑む。 「すぐに良くしてあげるからね。おいで氷里。可愛い氷里」 「って!!違う!!何やってるの?おにいさん」 「俺の告白にはい!と言ってくれたから間違ってないだろ?どうせいつかはやるんだし俺は早く氷里と一緒になりたいし!よかったぁ!婚姻届置いといて」 「ちょっとまって!!ひぃくんは俺の恋人なんです!!返して!!」 「…あ?お前の?へぇ。けど氷里はハイと言ってくれたんだ。お前のじゃねぇんだよ!六花」 「はい!とはいってないでしょ?ひぃくん戻ってきて?」 「うん。俺にいちゃんの。だから離して」 そういうと男はがーん!!と顔に書いているような表情で膝をついた 「にいちゃん!」 「ひぃくん!良かったよぉ…あの人腕は良いんだけど惚れっぽくて…俺も同じことされたことあって。てかしゃちょー!!何で止めないの!?」 「えっ?楽しいから?」 「ちょっと!!」 「てことでありがとー!!氷里くんをもっと素敵にしてくれて!またねぇ」 まだ床に膝をついたままの男にひらひらと手をふると車に戻った 流石に心配だ 「大丈夫なんですか?あの人」 「ん?月花?大丈夫よ。ほっといて」 あの人月花さんって言うんだ… 「ちなみに春雪の親戚なの。顔はいいし体もいいんだけどあれでしょ?もうね。いい加減あのクセ直したらいいと思うのよ」 「あんたも変わらないでしょ?」 「痛烈っ!まぁ否定はしないけどねぇ」 そんなこんなで事務所についた。 色々な人に挨拶して回って最後に来たのが広いレッスンルームだった そこではにいちゃんのグループの他のメンバーが揃っていた みんなキラキラして眩しい!俺は大丈夫なのかな?受け入れてもらえるのかな? 「六花のかぁ…残念だな」 「ほんと…残念」 「まじかぁ…」 メンバー皆でため息をつかせてしまった…やはり俺にこの場は似合わない…

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