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第8話

「ミサキ、 僕は明日ここにはこないよ」   ソファに寝そべったままミサキに言った。ミサキは床に座ってソファにもたれていたから顔が見えない。 「そう、なんで?」 「なんでって……哲平が出張から帰って来るんだ。だから顔を見にいかないと」 「そう……」   僕はまたイライラし始める。僕が悪いの?誰も悪くないよね、ミサキ。 「ミサキ、逆ならどうするの?」 「逆って?」  ミサキは相変わらず姿勢を変えようとしないから、僕達は顔を見ないまま話しをしている。  お互いそろそろ気が付き始めていた。 目を合わせても変えられない現実があることを。 二人の関係よりも重い現実があることを。 「僕達が大阪で出会ったとしたら、ミサキはどうする?」  ミサキは何も言わなかった。僕は少し満足したかわりに悲しくなる。家族のもとに帰るミサキを毎回見送るなんて僕は耐えられないだろう。そんなことに気がついたから。  僕達は出会って初めてSEXをしなかった。

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