25 / 53
第25話 リロン※
「許せるブラックジョークが同じって、重要だと思わないか?結局、その延長線には同じ笑いがあるんだし。それが俺たちは一緒だと思うんだよな」
「確かに…笑っちゃいけないけど、笑っちゃう時のポイントとかもそうだよね。だけど、ジロウさんは何も言わなすぎる。笑いのポイントは一緒だけど、ちゃんと言ってくれないとわからないことだらけだよ」
「おお、そうだな。ごめんな。俺さ、人に相談するのって苦手だからなぁ…確かに。でも、お前さ…言葉は嫌いだって言うじゃん。言葉なんて信用ない!みたいなこと言うじゃん。ほら、なんだっけ?視覚とか?そっちが重要なんだろ?」
「そうだけどさ…そうじゃないもん。肝心なことだし。ニューヨークに行かないことになったとか、何で俺と一緒にいたいのかとか…言ってくれないとわかんないよ」
「あれあれ?リロンも言葉の大切さがわかったのか?よし!これからはちゃんと言うことにしよう。好きだ、俺のものになって欲しい、君が欲しい、一生かけて大切にする、俺のそばにいてくれ、」
「も、も、もういいから!恥ずかしい」
「なんだよ…お前、外人だろ?愛を伝え合うって外人が得意とすることだろ?」
「こんな時だけ、外人ぶるなよ!」
結局、歩いて家まで帰ってきてしまった。途中何度かタクシーを捕まえようとしたが、ふざけ合ったり、話し合ったり、キスし合ったりしていたら、ジロウの家の近くまで帰ってきていた。
「そんで?さっきの男は?」
「ああ、晃大ね。昔、同業者だった。今は銀座で美容師だよ」
「髪を撫でてるのを見たらムカついて、衝動的に腕を掴んでた。かーっ、思い出してもムカついてくる。あれは無いよな…触るなよ勝手に」
「触るなって…ヘアセットのやり方を教えてくれてたんだよ?美容師なんだから」
「いーや、ダメだな。ヘアサロンで触るんならいいよ?あんなとこで、駅で触るか?雰囲気ありすぎだろ?ないっ!ないな、ない!許せん!」
ジロウの自宅近くの川沿いの道を歩く。今日、玖月と話をしていたベンチの横を通り過ぎた。時間が巻き戻しされた感じだ。
「ジロウさん、意外とよく見てるんだね」
「ああそうだ。俺がどれだけお前を見てきたことか。しかし、お前の視覚とか感覚って、あてにならないな」
ジロウにふふんと鼻で笑われた。
銀座から二人で歩いて帰りやっと家に到着する。玄関を抜けてバスルームがある3階まで上がっていく。いつも通りであれば二人でシャワーを浴びることになる。
「…急に恥ずかしくなったんだけど」
「ええっ?やっとキスできるようになったのに?」
「だからこそ、ジロウさんと一緒にシャワーを浴びるのが恥ずかしい」
「お前…それで恥ずかしかったら、その先出来ないぞ?」
パパッと服を脱ぎ捨てジロウはシャワーを浴びる「早く来いよ」と言われたから、リロンも意を決して服を脱ぎ、いつものようにジロウに背を抜けてシャワーに入る。
「髪を洗いますよ〜。いいですかぁ〜」
「いいで〜す。お願いしま〜す」
いつもの会話と変わらない。恥ずかしがるリロンに、ジロウが気を使ってくれるのがわかる。
シャンプーをしてもらうと感じる。やっぱりジロウの手が好きだ。シャンプーの泡が身体をつたわって流れ落ちていった。
「リロン…髪短くなったな」
「うん…後ろが結構短くなっちゃった」
ジロウに後ろから首筋を撫でられ、キスをされた。バスルームの中で音を立ててキスをされる。
リロンはゾクゾクとし全身に鳥肌が立つのを感じた。後ろから抱きしめられ、耳の後ろから首筋にキスをされるとジロウの唇をダイレクトに受けてしまう。気持ちがよくて、身体を後ろにいるジロウに預けてしまう。
「…ちょっと、ジロウさん」
「ん?」
リロンの耳や首に、チュッチュッと忙しくキスをするジロウは抱きしめる手を緩めず、リロンの身体をキツく引き寄せている。
「ちょっと!当たってるって!」
「…なんだよ。当たり前だろ?やっと解放出来るんだからそりゃこうなるだろうよ。なめるなよ、俺の性欲」
後ろから抱きしめているジロウの下半身は力が漲り、リロンに当たっている。キツく抱きしめられるからゴリゴリとしたジロウのペニスの感触が伝わってくる。
「今までこんなことなかったじゃん!何で今日に限って勃ってんの!」
「お前な…今までは抑えてたに決まってんだろ。勃たないように!って、どれだけ俺が下半身に念を送って努力してたかっ!本当に、褒めて欲しいくらいだよ。それに、俺が勃たなかったらヤバいだろ。この後何も出来ないんだぜ?それは最悪だろ」
「え…えーっ…この後って…」
「俺の愛を喰らってくれんだろ?」
くるっと身体を反対に向けられて正面からジロウに抱きしめられる。顔を上げると、くしゃっと笑っているジロウにキスをされた。
その後は手際よくバスローブに包まれて、2階に連れて行かれる。
2階はベッドルームだ。
「リロン?無理にするつもりはないよ?だけどさ、これ買ってきた。初めてだからよくわかんないんだけど、これが必要らしいぞ」
広く大きなベッドに横になっていると、ジロウがビニール袋を持ってきた。そのビニール袋の中には『ラブラブジェル』と書かれているものと、コンドームが入っていた。
「コンドームも…何これ?ラブラブジェル?ネーミング…ダサっ。どうやって使うの?えっ、あれ?やっぱりセックス?…いつの間に買ったの?」
リロンはジロウとの関係が進むとは思っていなかったので、考えが追いつかないが、ジロウの方はそうでもなかったらしい。
色々と物事が片付いたら、すぐにリロンを本気で口説いて、自分のモノにする予定だったと言っている。ラテン男の典型だ。だから用意周到に準備をしていたわけか。
「肝心な時に必要なものが足りなかったら困るだろ?せっかくだから使ってみっか。だけど、その前に全身にキスをさせてくれ」
ビニール袋ごとポイっとベッドの隅に投げ捨てたのを横目で見た。次の瞬間には、ジロウが上から覆いかぶさりキスをされている。ジロウのキスは、本人に似合っているのか優しい。唇を重ねている間に、リロンはジロウをキツく抱きしめていた。
「はぁ、はぁ、ああ…」
キスをしただけなのに声が上がる。バスローブが少しずつはだけていくのがわかる。今までしてきた性体験は、何だったのだろう。キスをしただけで喘ぐなんて、嘘っぽい行動を自分がしていることがおかしい。
「俺、お前のここ好き…後ろからの首筋も好きだけど、リロンの顎と首の境目にキスをするのが止まんない…」
ジロウの息がかかる。身体の中が下から上からと、波打つように熱が上がったり下がったりする感覚がある。
「気持ちいい…ジロウさん…」
好きな男に、貪られるようにキスをされるのは気持ちがいい。譫言のように声に出してリロンは言っていた。
全身にキスをさせてくれと言った通り、ジロウは頭からつま先まで、全身にキスをしている。身体中にキスをされる気持ちよさを知った。バスローブは完全に取り払われ、二人は全裸で抱き合っている。
「はっ…ああ…はああんっ…はぁ、」
足の付け根にキスをされた時、ツキンとした痛みを少し感じた。ジロウに跡をつけられるようなキスをされたと思う。そう考えたからなのか、リロンのペニスがグンと大きく勃起してしまった。
「リロン…そろそろこれ使っていいか?」
ジロウがさっきベッドの端にポイっと投げ捨てたジェルを取り出している。新しいパッケージをすんなりと破き、キャップを開け始めている。
「どうやるの?わかんない…」
「俺もよくわかんないけど、痛いことはしたくない。二人で気持ちよくなろうぜ」
ジロウは、グチャッと音を立ててジェルを大量に手のひらに出している。リロンを横向きに寝かせて、後ろの孔にジェルを塗り始めた。クチャクチャと音がしてジロウの指がスルッと中に入ってきたのをリロンは感じた。
「ひゃっっ!…うわっ」
「痛い?」
「違う…冷たい。変な感じ」
ジロウは器用に指を動かしてながら、リロンの唇にキスをする。キスをされると身体の強張りが解けるのがわかる。リロンも裸のジロウにしがみつくようにしていた。
「ジロウさん…の、肌…好き」
「ん?好き?そうか…」
熱いジロウの肌が、自分の肌に擦れて気持ちがよかった。少しカールしているジロウの髪の毛にくすぐられるのも気持ちがいい。
ジェルの助けもあり、ジロウの指がリロンの中にスルスルと入り始め、二本、三本と指は増えてリロンの後ろを探っていった。
指ではない別のものがリロンの後ろの孔にあてがわれた。それが、ズクズクとゆっくり中に入ってくる。
指より確実に圧迫感がある。三本の指より重量感があるものが、リロンの中に入ってくる。
「大丈夫か?痛くない?」
ミチミチと軋むような音を立てている気がする。ジロウのペニスが後ろに入ってきている。
あんなに大きなもの、どうやったら入るのかと思っていたが、ジロウが時間をかけて解してくれたおかげか、ジロウのペニスを咥え込んでいるリロンの孔は、目一杯開かれているが痛みはなかった。
少しずつジロウが腰を進めていき、ピッタリ奥までペニスが入った。広げられた孔はジンジンとして熱い。
「ジロウさん…全部?入った?」
「うん…入った。すげぇ…気持ちいい。それにお前の中は熱いな」
ジロウの掠れた声と共に、リロンの中でジロウのペニスがビクンと動いた。
初めてだった。自分の中に入ってくるものなんて。そして、そのジロウのペニスを感じて自分も勃起してしまうなんて。
「動いていい?」
動かさずジッとしていたジロウだが、リロンの中ではビクンビクンとペニスが波を打ち、堪えられないでいるのが男としてよくわかる。このまま動かされたら、どうなってしまうのか、少し怖かったが、リロンは頷いた。
ゆっくりとジロウが腰を引き動き始める。ズルズルとペニスが出ていく途中に、引っかかる何かがあった。
「や、やっやぁ、ああ…」
思わずジロウにしがみついてしまった。自分でもよくわからない。
「どうした?痛いか?」
「ち、違う…そこ…ゴリゴリされると…やっああああ…」
ジロウがまた腰を少し押し返した時、リロンはタラっと射精してしまった。
おかしい…何故、射精したのかわからないが、ゴリゴリと押し出されたところが刺激されたようにも思う。
リロンの射精を見たジロウは、腰を動かす速度を少し速めた。
その度に、何か引っ掛かる感じはするが、擦れて痛い感じもする。
「ジロウさん…ゴム付けてる?」
「ああ、付けてるぞ。ちゃんとコンドームつけたから…」
「ちょっと…多分、それ、痛い…」
ジロウはいつの間にかコンドームを付けていたようである。多分、擦れて痛い何かはそのコンドームだと思うとリロンはジロウに訴える。
「だから…ジロウさん、それ取っちゃダメ?コンドーム付けないとダメ?」
「痛いか?取るか?付けてると痛いのか…じゃあ、ジェルをたくさんつけて、そのまま入れてみる?」
リロンは頷きお願いした。ジロウはペニスをズルっと引き抜き、コンドームを外し、ペニスにジェルを大量に塗り、もう一度リロンの中に入れてきた。
今度は躊躇わず、奥まで一気にペニスを突きあげてきた。グッチュウと卑猥なジェルの音が響く。
「はあ…やああ、いい、気持ち、いい…」
コンドームという薄い膜ひとつが無くなっただけで、こうも違うものなのか。引っかかりがなくなり、熱く滾るジロウのペニス
を感じてゾクゾクとする。
「や…っべぇ。ナマで入れてるから、たまんねぇ。出来るだけ優しくするけど、痛かったり、無理だったら叩いて教えてくれ」
ジロウに足を抱え直される。横向きで寝ていたのを正面に向き直され、足を大きく開かされてしまった。ジロウは奥まで入れた腰を左右に揺すり、ゴリゴリと音を立てるようにしている。
「動くぞ…いいか?」
ゆっくりと腰を引き、ゆっくりと腰を奥までいれる動作を繰り返しているうちに、リロンの中の、何かがどこにあるのかジロウにはわかってきたようだった。
「ジロウさ…ん、そこ…気持ちいい」
「ここだろ?こうやって…擦ると気持ちいい?」
リロンの腰を抑え、ゆっくりと抜き差しをする。ズルズルと引き抜き、ゴリゴリと奥まで押し入れる。奥まで押し入れられた時、思わずジロウの背中を抱きしめて「そのままでいて」と、引き留めてしまった。
「奥に…ゴリゴリされると気持ちよくて。ああ…気持ちいい…このままもっと擦られたらどうなっちゃう?」
「リロン、余裕出てきたな?もっと擦ってみる?」
「…やって欲しい。気持ちいいから…もっと擦って」
ジロウは笑いながらOKと言い、キスをしてくれた。腰をふわっと上げられジロウに抱え直されたと思ったら、そのまま激しい抜き差しが始まった。
ジェルのグチャグチャという音、ジロウの肌がリロンに当たる音、二人の息づかい。どれも聞いたことがない音だった。
「ああっ、あっ、ジロウさ…ん、気持ちいい。もっとして…」
「ヤバい…一回外に抜いていいか?このままだとイキそうだ…。中に出しちまう」
「えー…やだぁ、抜かないで。このままもっとして…」
「うっ…リロン、締めないで。ヤバ、出ちゃいそうだから。一度抜くぞ」
「やだぁ、やだってば…このままして?中に出していいから…お願い、俺もイキたいんだから」
夢中になってしまった。男とセックスをするのは初めてだ。しかも男を好きになったのも初めて。そのセックスが気持ちいい。
イキたい。もっとそこを擦られたら射精するのがわかる。マスターベーションでは感じられない射精感である。こんな快感は初めてだ。
ジロウの気持ちもわかる。男なら、グチャグチャと孔にペニスを押し込み、抜き差ししていたら、すぐに射精感が込み上げてきて、ぶちまけたくなるだろう。だからこそ、このまま中に出して欲しいとリロンはおねだりしている。
「えー…マジで…あっ、ヤバい。お前の中が絡みついてきて…くっ、イキそう、」
「ああ、はあっ、イク…あああ、イク、」
最後は腰が宙に浮くほど抱えられ、凶暴なほど腰を叩き打ちつかれた。
ジロウがリロンの中に、放ったのを感じた。一度奥までペニスを突きあげグリグリと押し付けていたが、その後、何度も腰を振りつけていた。
ともだちにシェアしよう!