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第26話 リロン※

ジロウは、ズルっとペニスを引き抜いて、リロンを後ろから抱えて横になっている。 「リロン?大丈夫か?」 後ろから声がかかる。うん、と頷くとジロウはチュッチュッとリロンの頸にキスをしていた。頸が見えるほど髪が短くなったから、キスをされると少しくすぐったい。 それに、こんなところにジロウがキスをするなんて、数時間前には考えられなかったことだ。 「ああ…セックスしちゃった」 「身体、つらくないか?」 気遣う言葉をかけているが、ふふんと鼻歌が聞こえそうな程、弾んでいるジロウの声が聞こえた。そして相変わらず首筋にキスをしている忙しい男だ。 「ねぇ、ジロウさん。初めての経験なのにさ、気持ちよかったんだよね。どうなってんだろう、身体って不思議だね」 それは本当。 気持ちがよくてびっくりした。 自分の身体でもまだ知らないことはあるとリロンは思う。 「そうか。俺なんて、腰砕けるかと思うほど気持ちよかったぞ」 こっち向けよとジロウに言われて、身体をジロウの方に向き直す。ずっと一緒にこのベッドに寝ていたし、恥ずかしいことはないが、セックスした後の関係となると、ちょっとムズムズとする感じはある。 「なぁリロン?バーシャミが閉店してもフィエロをオープンしても、ずっとこのまま俺と一緒に生活してくれる?」 唇にキスをされた。 チュッって音付きで。 キスをするのは気持ちがいいから好きだ。 「うん…いいけど。ジロウさん、そんな簡単に決めちゃっていいの?」 「なんで?リロンは嫌か?」 「ううん、俺は嫌じゃないよ。だけど、ジロウさんは誰かと一緒に生活するって窮屈なんじゃないかなって思ってさ」 「ははは、嬉しいねぇ…気にしてくれて。だけど俺はもう、お前との日々を知ってしまったから、離れて暮らすのは人生じゃないって思ってるよ」 「あはは、人生ってそんな大袈裟な…やっぱりジロウさんはラテンだね。熱い」 「大袈裟じゃないよ。楽しいよ…毎日が。俺はリロンの言葉を聞いて料理をするのが好きだ。お前の態度や言葉や振る舞いが、俺の芯にあるものにぴったりなんだよ。なんだろな…それって、もしかしたら俺のルーツなのかもな、人生は食事と愛だって結構マジで思っててさ、だからお前が俺のガイドラインだって感じる。もうズクっと持っていかれたなって感じだよ」 ジロウの顔をまじまじと見ていた。殺し文句を並べられている。ガイドラインだなんて聞きたこともないセリフだ。彼のルーツはやっぱりイタリアなのだろう。 ジロウはリロンの頬を撫でて、笑っていた。唇がまた近寄ってくる。 ジロウのキスはゆっくりとしている。すごく気持ちがよくて好きだ。 「そこばっかり…」 上から覆いかぶさり、リロンの唇から、顎にかけて何度もキスをしている。 「リロンの…ここの匂い好きだ…」 「なにそれ…変なの」 キスをしながら後ろの孔をクチクチと触られる。ジロウのペニスがまた立ち上がってきているのを感じている。 「中が濡れてて、柔らかくなってるから」 「だから…?なに?」 「うーん?だから?またできるかなぁ?ってさ」 「マジ…セックスって一回やったら終わりじゃないの?」 「おい!一回こっきりって拷問かよ…俺の性欲に終わりはないぞ?なめんなよ」 笑いながらジロウはさっきと同じように全身にキスをしていく。ジロウにキスをされたところは熱くなり、気持ちがよくなる。あの熱い唇でキスをされるからだと思う。 「リロンの乳首もピクって立っててかわいいぞ。ほら、触って欲しいって。右と左どっちからがいい?恥ずかしい?」 一度セックスしたからか、それとも少し余裕がでてきたからなのか、饒舌になり嬉しそうにジロウは言う。 リロンの恥じらう姿が見たいような感じで、やたらと聞いてくる。 憎たらしい、受けて立とうじゃないか。 「ジロウ…気持ちよくさせてよ」 恥じらいは無理矢理捨てて、挑発してみる。 「…えっ」 「ジロウの唇で気持ちよくさせて?そしたらまた硬くなってるの入れてよ、後ろに…大きいので、中をまた擦ってくれる?」 「お…おお…おおおお、マジか!」 チョロい。こんなことで、こんなに簡単に喜ぶのか。言葉って本当に厄介。 だけど、言葉って案外重要かも。 「ひゃぁぁっっ…」 手際が良いジロウに乳首を強く吸われた。舌で押し潰されている。こんなところ、今まで気持ちがよくなるなんてことなかった。片方の乳首を唇で押し潰しながら、もう片方の乳首をジロウは指で摘んでいる。 さっき少し挑発して、揶揄ったことを後悔する。 チョロいなぁと思ってワザといやらしいことを言い、手のひらの上で遊ぶはずが、ジロウのエロ好きに拍車をかけることになってしまったようだ。 もう後戻りできないくらいに、身体を可愛がられている。 「お前のその顔…かわいいな」 「えっ…なに…やめろよ」 「リロン、入れていい?顔見てしたい。このまま入れていい?」 「…ゴムは付けないで、痛いから」 「いいけどよ、イキそうになったら外に出すぞ?中に出すのはよくないだろ」 「なんで?それはやだ。途中で抜かれるのはイヤだもん」 「イヤだもんって…いってもなぁ。そんなかわいいこと言うなよ」 ジェルを手のひらに出して、リロンの後ろに塗りつけている。手際が良くて腹が立つほどだ。 腹につくくらい硬くなっているジロウのペニスがまた、リロンの中に入ってきた。 最初は少しキツイ。圧迫感というか、ギチギチっと孔の入り口が開かれるから、くるしい。 「少し、力抜けるか?」 力を抜いたらさっきよりはスムーズに奥まで入ってきた。ジロウのアンダーヘアがぴったりとリロンのお尻に当たっている。奥の方でジロウを感じたら、今までにない快感がまた襲ってきた。 「ジロウさん…おっきい…」 ビクンとジロウのペニスがリロンの中で跳ね返った。内側の縁をグリっと硬いペニスで突き上げられる。 「今度はゆっくりやろうと思ってるんだけどなぁ。はぁ…ヤバいかも。お前の中、どうなってんだよ…」 「…奥に埋めて、ジロウさんのでずっと埋めていて欲しい」 ジロウはペニスをリロンの中に入れたまま、身体をギシっと曲げてキスをしてくる。キスをする度に、ペニスが奥まで貫きグチグチと動き始める。 「リロン…お前、本当にかわいいな」 動くぞと、ジロウが言い大きく腰を回している。グリグリと腰を回されるから、ジロウの大きなペニスがぐいぐいとリロンの中をえぐっている。 少しづつジロウの腰の動きが速くなる。 ああ、気が遠くなるほど気持ちがいい、抱き合って繋がっているからジロウの匂いを濃く感じる。 目を閉じていても、近くにジロウを感じるのは、やっぱり聴覚や嗅覚などが頼りになるからだ。 特にセックス中は言葉なんて必要はない。 耳にするのは自分の甘ったるい嬌声と、繋がり合う水音。それと、好きな男の荒く乱れた吐息とキスの音。 好きな男から求められ、何度も激しく腰を叩きつけられている。言葉なんて必要がない。だけど、思わず口から溢れた言葉。 「ジロウさん…好き。すごく好き…」 セックス中に愛を告白するなんて、あざとい奴がすることだと思ってた。 こんなに思いが溢れてきて、無意識に言葉として口から出るとは知らなかった。 「ああ…俺も好きだよ、リロン…」 目を開けてジロウを見ると、片眉を上げて嬉しそうにそう言っていた。 その後は、言葉が出ないほど激しく揺さぶられ、腰を叩きつけられる。 グッチャグッチャとジェルの音が派手に響き、いやらしさも加わってリロンはまた呆気なく射精してしまった。 少し遅れてジロウもリロンの奥に精を放った。ジロウは射精しながらも何度か強く腰を振る。その度に精子が奥にかけられる感触があり、リロンは鳥肌が立った。 何度も肌を重ね、時間の感覚もわからなくなった頃、いつものように二人は足を絡めて寝ることができた。

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