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だんだん目が覚めてきた。
ジェゾがいないことに気がついた一斉は、キョロキョロと辺りを見回す。
一斉にとっては寝起きイッパツ謎ロボットにお説教をされている状況より一大事だ。ジェゾがいないとわかった途端なんだかソワソワと落ち着かない。
しかし適当に相づちを打ちつつジェゾを探してみるものの、白毛はどこにも見当たらず。
ジェゾはどこにいるのだろう。
まさか誰かに誘拐されたのか? いいや、自分と部屋の状態を考えて事件性はないと思う。ただ捨てるならベッドに寝かせる必要もないはず。
自分は無傷で外は晴れ。部屋は綺麗だ。なら一先ずロボットの話を聞こう。
少し考えてそう結論づけた一斉は、飽きもせずにゆとらせないと騒ぐツミホロボシのボディをツン、とつついた。
『あぁんッ? なんでっしゃろ!』
「ペ、ナヘル……罪……あー……ツーミン」
『!?』
呼んだはいいものの、一斉は一斉なので名前を覚えられていない。うろ覚えであだ名を付ける。
ツーミン。これなら覚えられる。
そう思ったが、表情モニターに怒りを表示していたツミホロボシことツーミンは、一斉の発したあだ名を耳にした瞬間ピョンッ! と跳ね上がった。
『なっ……なんやそれ……っ』
ワナワナと震えて後ずさる。
もしかすると、名前を無許可で略されて怒ってしまったのかもしれない。
撤回しようかと思った矢先──
『めっちゃかわええや〜〜んっ!』
「痛ぇ」
パンパカパンパンパーン! とファンファーレの音源をセルフで流しながら、弾丸のようにツーミンが飛びついてきた。
ゴンッ、と顎を強打する一斉。
金属のたいあたり。痛い。
『ツーミン! ツーミン! むっちゃええやんか! 一斉はんおおきに!』
「ああ」
『ハイセンス愛称かわよいで! あはっ! なんやよう見たら一斉はんもチンピラ顔やのーてアウトロー系男前やんー? 今回のマスターもやっぱり善人でっせー!』
よほどあだ名が気に入ったらしい。
ツーミンは嬉しがってはしゃぎ、一斉の首を絞めるように抱きつく。
さっきまで散々一斉を「深淵アイズクールガイ」やら「クレイジーサイコヤクザ」やら「ゆとりと氷のハイブリッド」やらと貶していたのに手のひら返しがマッハである。
「……ツーミン、説明、聞く」
『わちゃっ! そやったそやった!』
一斉は大きめの蜘蛛のように首にまとわりつくツーミンを潰さないよう指先でつまみ、そっと元のシーツの上へ乗せた。取り扱いに困る神様ロボットめ。
(……。まぁ、嫌いじゃねぇけどよ)
内心ポソリと呟く。
蜘蛛もロボットも関西弁も黄色も、一斉はみんな平気なのだ。
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