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23歳の臣
「由宇くーん!病棟内は走らないでくださいー」
少年棟の中に入って、廊下を駆け抜けステーションの前を通り抜けていく最中
師長机から立ち上がって声を張り上げる真尾 師長が見え、由宇は手を振った。
「師長さんごめんっ。そしておひさー!臣のとこ行ってくるね」
「あ、ちょ…待ってください!あー…行っちゃいましたか…」
真尾の制止を聞かず、まるで勝手知ったる他人の家かのように由宇は步を進め
もう2度と入りたくない処置室前を通り過ぎた
そして並ぶ、入院部屋の1号室に臣はいまいる
「臣ーっ聞いてーっ」
「やらんって言っとると!」
「やる、やらないじゃないんです!どれだけ数字が下がってるか理解してますかっ!」
「え?」
「あ、由宇」
「…」
真っ黒い注射器を持ったどっかで見たことがある西洋のお人形さんのような医者がギロっと由宇をにらんだ。
「…わ…えと…なんだっけ会ったことある気が…」
「実習に来ていた紫藤 先生ばい。今月から少年棟に配属になったとよ」
「そうなんだ…えと、なんか俺…お邪魔だよね?」
「たしか、佐久間…由宇くんだったでしょうか?ここにいましたよね?」
「う、うん。そう。それ。えと、出直す?」
「問題ありませんが…騒がないでいただけますか?集中できませんので」
「わ、分かった」
実習に来てた時、ここまでピリピリしてたっけ?
ピリついた空気に由宇は怖気付きながら臣のベッド横に置いてある椅子に座った
「さて、はじめましょう?臣」
「う…は、はい…」
「足、いいですか?」
「やっぱりそこいくの?」
「ええ。手はお友達に繋いでもらっててもらえば良いかと?」
たんたんと進められていき、臣は震えながら由宇に手を差し伸べた
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