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元気な周防

病棟に帰ると、遅番で出勤してきた周防が元気いっぱいに手を振っていた 「臣くん!おかえりーっ」 「むーちゃんたーだいま!」 「バイタル測らせてや」 「はーい」 「由宇くん、いらっしゃい。久方ぶりやな?」 「うん。ちょうど前回面会に来た時は周防さんいなかったから」 「2人してどこにデート行ってきたん?」 「デートって」 由宇が苦笑すると、周防はニパニパと笑い 「だってそうやろ?2人でお出かけしてきたんやから」 「デートかどうかはさておき、デパートだよな?臣」 「ん。フルーツキャンディー美味しかったとよ?」 「え?なんなん?それ知らんー。あったん?そんな店」 「できたばっかりやったと。今度しーちゃんと行くとよかよ」 「うん。そーするわ。ok。お熱出てないな。ほんなら祖父江先生呼ぶわ」 「えー…なんでおらんとねっ!帰る時間伝えたとよ!俺」 「まあまあ早よ、経管栄養はじめな夜になってまうで?」 「うー…それはお腹たぷたぷでイヤやけん困ったばい」 「我慢しぃ。抜かんでもええよって言われたのに抜く言うたん自分なんやから」 「そうやけん仕方ないって分かっとろうもん。でも痛かことはイヤやけん逃げる。おらん人らが悪かよ」 「は?」 「由宇ー!またねー。きゃーー」 「え、ちょ、臣っ。ってもう見えないし」 「あかーん。逃げよった」 「捕まったらお仕置きされんじゃん」 「それは大丈夫やて。臣くんの今のは祖父江先生〜構ってぇやから。そのうち祖父江先生に担がれて戻ってくると思うで」 「そっか、ならいいけど」 「由宇くんは?定期受診この間あったやろ?どうやった?」 「え…あー。うん、ぼちぼち。俺、帰るね」 「気ぃつけて帰りぃー。またなぁ」 「おつかれさまー」 由宇は瀬谷に見つからないようにそそくさと病院から姿を消した。

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