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祖父江と瀬谷

外来から少年棟へと続く長い渡り廊下を渡りながら、祖父江実継(そぶえさねつぐ)瀬谷朱雀(せたにすざく)が会話をしていた。 「由宇が?」 「ああ、たまたまだと思いたいがね予約の時間に来なかった」 「経過は?」 「今のところ順調。ステントも交換したばかりだしね。ちなみに前立腺マッサージもほとんど痛みなく受け入れられるくらいに回復しているし、排尿障害も落ち着いている」 「それなら…1回スキップするくらいなら問題ないだろうが…来月が気になるな」 「来るといいんだがね」 「見かけたら声をかける」 「頼むよ」 少年棟前へとたどり着き、電気錠を解錠すると2人は中に入りステーションへと向かった 「こんにちは。お二人ともおつかれさまです」 「宵くん、後休憩かい?」 「はい。詩乃(しの)を先に行かせたので僕は後に」 祖父江はあたりを見回し 「臣は?カルテ上は帰院になっているが…」 「あー…ですね。電子カルテ便利ですよね。どこにいても情報とれちゃうから」 「って何ではぐらかす?」 「消えました」 「消えたー?」 「ははっ。臣らしいね。かくれんぼのつもりだろうね」 「ったく…だから抜かなくていいって言ったのに…探すぞ」 祖父江と瀬谷は病棟内の捜索を始めた

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