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カフェM's
一呼吸おいて祖父江は説明を始めた
「教えるけど引くなよ?まあ、なんだいわゆる出会いの場があるんだよ。このあたりだと駅前にあるM's って言うカフェがそれだ」
「聞いたことがないな」
「聞いたことがあったら驚きだ。夜しか空いてないし、ちょっと奥まったところにあるからな」
「そうか、それでそのカフェがどうした?」
「マンネリ防止ってやつだ」
「それはいったい…」
「いくらパスタが好きでも3食365日パスタだと飽きるし、ありがたみが無いだろ?だから気の合うカップルとパートナーを交換するんだよ」
「ぶふ…っ」
予想だにしない言葉に瀬谷はお茶を吹き
「大丈夫か?朱雀」
「あ、いや…失礼。すごい世界があるもんだね」
「俺たちの世界じゃ珍しく無いが、まあ一般的じゃないな」
「ちなみにその…はじめて行った時は宵くん、泣かなかったかい?」
「あー泣いてたな」
「可哀想に…」
「嬉し泣きだが?」
「はい?」
「はじめはビビっていたが実際体験してみたら未知の世界が気に入ったらしくてな。その後、2度目の催促もしてきたくらいだ」
「なんだか…世の中にはいろいろあるんだな」
「飽きる要素が無くていいだろう?」
「患者にその欲を分けたいくらいだね」
「間違いない」
2人は口々に言い、笑った
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