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明さんの複雑な心

詩乃のことは忘れられないけど、理央は理央でいいパートナーだと思っている。 「明さんの弟っていうポジションうらやましいけど…明さんとえっちできないのはやだ」 「理央くんは明にぃが大好きなんですね」 「うん。でも明さんは忘れられない子がいるんだって」 「忘れられない子…知ってますか?実継さん」 「いや…そんな情熱的な相手がいたのか?明くん」 「だね。2年くらいだけどほぼ毎日一緒に過ごした子がいるよ。海外研修で心が離れてしまったみたいだけどね」 「ですか…それは切ない思いをしましたね」 「でも、そのおかげで理央に会えた。今でもあの子とヨリを戻したいけど、理央も手放したくない」 明は理央を後ろから抱きしめ、理央の耳元に口付け 「わがままでごめんね」 「明にぃ、理央くんを大事にしてあげてくださいよ?戻ってくるかも分からない子に想いを寄せたままでは理央くんが可哀想です」 「宵さん、ボクなら大丈夫!だってその人のおかげで明さんに出会えたからこの1年寂しくなく過ごせて、学校にも通わせてもらえるから将来の夢も決まって…可哀想なんかじゃないよ」 「学校にも通わせてもらえる…って明くんがいわゆるあしながおじさんに?」 「そうなるね」 「明にぃって面倒見がいいとは思っていたけどここまでとは…」 「前の恋を引きずってはいるが、理央くんを愛してはいるんだな、明くん」 宵と実継の2人は明の行動に感心し、微笑ましい気持ちで理央と明を見た。

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