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臣 退院
朝から由宇はソワソワしていた。
もうすぐ、臣の退院だ。
そしてそのまま2人の新居に引っ越す…。
荷解き自体は朝からしたけど、まだまだ段ボールがいっぱい。
今朝、臣あての謎の段ボール(めちゃ重い)が追加で届いたけどなんだったんだ?あれ
考えることはたくさんだけど、それは置いといて。
まずは臣とまったり過ごそうと思って大学が休みの土曜日に退院にしてもらったし、楽しみだな
10時ころ、臣を迎えに行くと病院のタクシー乗り場に臣の姿がいた。
「ごめん、臣。待たせた」
「そんなに待っとらんとよ。由宇、病棟に寄らんくてもよかったと?」
「あー…えと、、今日は…いいかな」
診察すっぽかしたまんまだから気まずいじゃん?だから無理
…とは、言えない。臣には内緒。
バレたら引きずってでも受診させられそうだもんな。
「そしたら由宇、帰るとよ」
「うん」
2人でタクシーに乗り込むと由宇は臣に聞いた
「臣、鼻のチューブってさ」
「うん」
「取ってあるけど大丈夫なのか?」
「固形物はまだオェってなっちゃうからあんまりやけど、栄養ドリンクの缶が飲めるようになったから大丈夫とよ。それが飲めんと退院できん言われたばい頑張って飲む練習ばしたと。今朝、段ボールがいくつか届かんかったと?中身それやけん」
「そういうことか!重いわけだ」
「伝えるの忘れてたと、ごめん。でも、由宇のために頑張ったっちゃけん褒めてほしか」
「臣、さすが。えらいえらいっ」
「へへ」
得意気に笑う臣の頭を由宇は撫で
「これからずっと一緒だな?臣」
「うん、嬉しかぁ」
「俺も」
2人が幸せを噛みしめているとタクシーはマンションにたどり着いた。
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