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注射

臣の体勢を雅宗は仰向けから注射の打てるよう横向きにし、その間に実継は注射の用意をしていた。 実継が注射の準備をしている間、雅宗は思った。 筋注って何を打つつもりやねん。 結局、鎮静かけるん?まさかな。 「なあ、先生。それなんの注射なん?まさかとは思うけど…やっぱり鎮静とか言わんやろな」 「違う。テストステロン。いわゆる男性ホルモンだ」 「男性ホルモン…」 「今まで内服で対処してきたが…どうやら退院後、内服をサボっていたらしい。これからは2週間おきに打つ。多少痛いかもしれんが内服より効果が期待できるし。サボりようがない」 「やぁっ…!注射なんてせんっ」 「黙れ、臣」 パシーーンっ! 「あうっ!!いたーいっ。なんでおしりば叩くとね!暴力反対っ」 「薬を飲まなかったおまえが悪い」 冷たく言い放つと実継は臣の尻肉を消毒し 「動くなよ。間違えて神経に刺すと取り返しがつかん」 「いやーっ怖かーーっ」 「怖くない。すぐ済む。刺すぞ」 「ひっ…」 臣は恐ろしさに固まり、針が尻に刺さり液体を注入されるとポタポタと涙を流した。 「う…ぅく…っ」 情けなかぁ。23才にもなって注射で泣くとか。ばってん…痛くて涙が止まらんばい

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