215 / 252
注射
臣の体勢を雅宗は仰向けから注射の打てるよう横向きにし、その間に実継は注射の用意をしていた。
実継が注射の準備をしている間、雅宗は思った。
筋注って何を打つつもりやねん。
結局、鎮静かけるん?まさかな。
「なあ、先生。それなんの注射なん?まさかとは思うけど…やっぱり鎮静とか言わんやろな」
「違う。テストステロン。いわゆる男性ホルモンだ」
「男性ホルモン…」
「今まで内服で対処してきたが…どうやら退院後、内服をサボっていたらしい。これからは2週間おきに打つ。多少痛いかもしれんが内服より効果が期待できるし。サボりようがない」
「やぁっ…!注射なんてせんっ」
「黙れ、臣」
パシーーンっ!
「あうっ!!いたーいっ。なんでおしりば叩くとね!暴力反対っ」
「薬を飲まなかったおまえが悪い」
冷たく言い放つと実継は臣の尻肉を消毒し
「動くなよ。間違えて神経に刺すと取り返しがつかん」
「いやーっ怖かーーっ」
「怖くない。すぐ済む。刺すぞ」
「ひっ…」
臣は恐ろしさに固まり、針が尻に刺さり液体を注入されるとポタポタと涙を流した。
「う…ぅく…っ」
情けなかぁ。23才にもなって注射で泣くとか。ばってん…痛くて涙が止まらんばい
ともだちにシェアしよう!