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臣、病室へ

臣の泣き声だけが処置3内に響いていた。 「痛い…ぅう…ひく…っ…終わってーっ」 「…注射痛いなぁ、臣くん。頑張れ」 雅宗は臣の背中をさすり励ました 「むーちゃん…これ痛かよ」 「そうやんなぁ。俺かてそんなん打たれたら泣いてまうわ。後少しの辛抱やで」 「うん…。ぐす…っう…っ」 「よし、終わりだ」 カラン…と使用済みの注射器をバットに転がし机に置くと、実継は臣を抱き起こし、きつく臣を抱きしめた。 「ごめんな、臣。痛かったな?」 「せん…せ…、わがまま…して、ごめんなさい…っ」 「また頑張って治そう。俺も頑張るから」 「ん…分かったとよ。俺、頑張る」 臣は抱きしめ返して実継に甘えた。 甘える臣の頭を実継は優しく撫で 「周防、車椅子の用意を頼めるか?」 「車椅子やな。OK」 「いま、車椅子を用意してくれているから乗って病室に行こうな」 「うん」 車椅子を用意した周防はベッドサイドに車椅子をつけ 「ほな、行こかー?」 「うん」 「臣くん、お部屋今度は1号室な?ついたらご飯流そな?」 「分かったとよ」 2人の仲睦まじい様子に実継は微笑み 「周防、後を頼めるか?」 「先生はついてこんの?」 「千早(ちはや)のところに寄ってからまた顔を見にいく」 「ちぃちゃんよくないん?」 「かんばしくないな」 「ちぃちゃん?」 「2号室に入院している子やで仲良ーしたってな?」 「うん」 臣は周防に車椅子を押され病室へと向かった。

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