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第1話 傷心男とウリ専ボーイ(6)★

「隆之さん、いい体してるよね。学生時代スポーツやってた?」 「……柔道。これでも大学までは続けてたかな」 「えっ、マジ? カッコいい! 柔道って硬派なカンジしていいよねぇ」  他愛のない会話をしながらも、自身の先端に手が伸びてきて、皮周りまで念入りに洗われる。思わず勃起してしまったが、気まずさに隆之は知らぬ顔をした。  シャワーで泡を流してもらったあとは、タオルでこれまた優しく全身を拭かれる。  そして、マウスウォッシュでうがいを済ませたのちに、いよいよベッドへと誘われたのだった。 「どーぞ横になって。アロマとか炊く?」 「いや、いい」 「じゃあ、照明だけね」  ナツは部屋の明かりを薄暗く調節すると、ベッドへ乗り上げて一緒に寝転んでくる。そして、隆之のことをぎゅっと抱きしめてきた。 「ドキドキしちゃうね?」  密着した素肌から鼓動が伝わってくる。ドクンドクンと高鳴っているのは自分の心臓か、はたまた相手のものか。  気分が高揚するなか、やんわりと唇が重ねられた。 「ん、隆之さん……」  やがてナツの舌先が侵入してきて、隆之のそれと絡み合った。途端、隆之は今までにない感触を覚えて口づけを解いてしまう。 「なんか硬い感触が」 「あ、ピアスの感じイヤだった?」 「ピアス?」 「気づいてなかったんだ? 俺、舌ピしてんの」  んべっ、と突き出された舌の中央部には、銀色に光る小さなボディピアスが付いていた。耳だけでは飽き足らず、まさかこんなところにまでピアッシングしているとは予想外だ。 「ごめんね。イヤだったらキス控えるよ?」  ナツが少し寂しげに目を伏せる。隆之は反射的に首を振った。 「いいんだ、少し驚いただけだから」 「なら、よかった」  再び唇を塞がれ、今度はより深く貪られる。  ナツは慣れているだけあってとても上手かった。口腔内を舐め回され、上顎の裏や歯茎までも執拗に刺激されて、こちらもどんどんノリ気にさせられてしまう。 (マズい、なんだこれ……)  隆之は無自覚のうちにナツの頭を掴んで引き寄せていた。舌先に当たるピアスの異物感が、むしろ興奮を煽るようで止まらない。 「隆之さんもノッてきた?」  角度を変えながら求め合うなか、体を撫で回していたナツの手が股間まで下がってくる。隆之のものは、はち切れんばかりに反応を示していた。 「君が変に煽るからだ」 「へへっ嬉しい。じゃあ、コッチも頑張っちゃおーっと」  ナツは身を起こし、肌に口づけながら隆之の足元へ移動する。そして、屹立を手に取るなり、躊躇することなく舌を這わせてきた。 「隆之さんの、すっごく元気だね」  うっとりとした表情でカリ首をぐるりと舐め回される。  その光景はやたらと艶めかしく、隆之は息を呑んだ。相手は同性だというのに、とかいう戸惑いもいつの間にやら薄れてしまっている。 「舌ピの感覚どう? 唾液も出やすいし、こうやって優しくコリコリされんのよくね?」 「そんなの……訊かなくたって、わかるだろ」 「だってほらぁ、お客様のご意見・ご要望は大事ですから? 隆之さんのこといっぱい気持ちよくしてあげたいし――ね?」  根元から先端に向かって何度も往復したあと、やっとのことで亀頭に吸いつかれる。じゅるるっ、と卑猥な音を立てられて思わず腰が引けた。 「ぷはっ、先走りでもうトロットロ……隆之さんのチンポってやーらしい」 「っ、く……」  舌を柔らかくして先端を舐められる一方、硬いピアスが鈴口をほじくって新たな快感を生むのが堪らない。  さらにナツは「あーん」と大きく口を開けると、今度は見せつけるかのごとく屹立をしゃぶりだした。  まるで美味しいものを食べているかのようなそれだが、やっていることはえげつないし、相当の手練れだ。喉奥まで使って激しく出し入れされ、隆之の陰茎は瞬く間に膨れ上がっていく。  が、すんでのところでナツの動きが止まった。 「ね、隆之さん。このまま出しちゃう? それとも、こっち使う?」  そう言うなり、ナツは体の向きを変えて後孔を晒した。  男同士のセックスに使う場所、というのは知っていたが――彼のそこはすっかり縦に広がっており、ヒクヒクと収縮する様が卑猥でならなかった。  ゴクリ、と生唾を飲み込む音が響いてハッとする。隆之は誤魔化すように咳払いをした。 「その、こういった店での本番行為は禁止されてるんじゃないのか?」 「ブッブー。法律上、アナルセックスは売春行為にあたりませーんっ」

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