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「う、うるさい」
そんなことを言うが、先輩は耳まで真っ赤だ。
シャワーを止めて戻しつつその耳に唇を這わせると、先輩は俺の腕の中でピクンと跳ねる。
「タク!お前なぁ!女じゃねぇんだよ!んな、恥ずかしいのやめろ!」
クルッと俺の腕の中で向きを変えて先輩がこっちを睨んできて、
「はぁ?そんなの女とか関係ないでしょう?好きだからくっついていたい、それだけですよ」
俺はただ微笑んで先輩を抱き締めた。
それでもまだ暴れる先輩の首筋にキスをして殴られる。
「お前……激甘か?」
「んー?先輩が恥ずかしがるからかわいくて!」
ニッと笑うと、腹に容赦なく拳を入れてきた。
ギリギリ受け止めて真剣に先輩を見つめる。
「余裕で先輩抱けたでしょう?勘違いとかじゃなくてマジですよ」
「どーだか」
バッとまた腕を払われて目を細めた。
「ノンケなんてな!最後は結局女を選ぶんだよ」
「今まで別れる度に呼び出されたんで知ってますが……それと一緒にされても困るんですけど?」
冷静に、と思っていてもさすがに悲しくなってくる。
「試してみて……よくなかったですか?」
「……調子に乗んな」
再びシャワーを浴び始めた先輩はこっちを見てくれない。
「えー、だって先輩が試すって言ったんでしょう?」
「俺はそりゃネコもできるけど、普段はタチなんだよ!」
キュッと湯を止めて先輩はまた睨んでくる。
「は?」
「そんなんもわかんねぇノンケが本気とか言うな!」
押し退けて風呂から出て行ってしまった先輩を見て、俺は項垂れるしかなかった。
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