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「拓翔が言いたいのはネコとタチだろ?」
「あ、それかも!」
すぐにスマホで検索しようとした俺の手は城くんの長い指を被されて止められた。
「何?」
「お前、本当にわかってないのか?」
「え、そんな常識なの?」
聞くと、城くんは深いため息を吐く。
指が退いたことで検索をした俺は画面を見たまま固まった。
「……えっと……どういうこと?」
すんなりと理解ができない。
「ネコは受ける方、タチは攻める方」
改めて城くんに言われてグギギと顔を上げる。
「普段は立ってってどういうことかと思ってたんだけど?」
「普段は“タチ”って言ったんだろ?」
考えもしなかった衝撃。
気のせいかと思っても城くんの言葉で理解してしまう。
「え、先輩は俺に挿れたいってこと?」
「知るか。てかなぁ、俺はお前のこと息子だと思ってんだけど?そんな息子の性事情とか……勘弁しろよ」
確認してみると、城くんはガックリと項垂れた。
「あ……じゃあ、父さんに聞く?」
「やめろ。そんなん優希 さん死んじゃうから。俺が答える」
城くんは父さんへの愛で溢れていて羨ましい。
「いいなぁ……」
思わず呟くと、城くんは少しだけ笑ってパシパシと俺の頭を叩いた。
「拓翔はその人のこと好きか?」
「うん」
「ならどうしたい?」
どうしたいかなんて……期限なんて取っ払ってちゃんと付き合いたい。
だが正直、一緒に居たいとかかわいい先輩を抱き締めたいとは思っても、さすがに抱かれるのは想像できなかった。
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