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「抱かれるなんて……考えもしなかった」  テーブルに片肘をついて額を押さえる。すると、 「そりゃそうだろうなぁ……てかお前、美玖ちゃんはカモフラだったのか?」  目の前に居た城くんが目を細めた。 「違う。美玖は本当に好きだったよ。最初はね」  俺は首を振って否定する。  ホッとしたような城くんを見てテーブルに突っ伏した。 「……ただ、先輩に会って……美玖より気になるようになって、一緒に居たくて……隣に居る男が俺じゃないのが悔しくなった」 「……」 「『別れたから飯付き合え』って連絡来る度にすっ飛んで行って愚痴聞いて……弱ってる先輩を守りたくて、抱き締めたくて仕方なくなった」  黙っていた城くんはいつの間にかまた箸を置いてじっとこっちを見ている。 「もう泣かせたくないんだよ!照れて、怒って……ただ笑っていて欲しい」 「その先輩って……うちにも何回か来たことあるあのかわいい顔の子だよな?」  頷くと、城くんはまたビールに口をつけた。 「あの子はゲイだろ?でも、お前は違うんじゃないのか?」 「何、城くんまでノンケがとか言うの?城くんだって父さんと付き合ってるじゃん!」 「俺も散々優希さんに確認したから言ってる」  真剣な城くんの顔を見て頭を抱える。 「ま、優希さんはゲイだけどな」  城くんの呟きは俺の耳には届かなかった。

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