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言われるままに鍵を開けて入った先輩の部屋はこの前とは雰囲気が違った。
ベッドは畳まれてソファーになっていて、テーブルの上には色画用紙とハサミとのり。
保育園でよく見たようなくまだのうさぎだのかわいい動物たちがいっぱい作られているが、それは先輩が作ったのだろうか?
あんなヤるだけの雰囲気はなく、シンプルで仕事を真剣に頑張っているような部屋だ。
「テーブル退けてソファー引き出しといて」
靴を脱いで先輩はフラフラと歩き出す。
テーブルを前あったキッチンスペースに置いてソファーの座面を引き出すと、
「これ広げて〜」
にこにこ笑って投げてきた先輩はペタンと床に座った。
「大丈夫ですか?」
聞きながら俺はシーツを広げて先輩の様子を窺う。
コクコクと頷いた先輩は俺がシーツを敷き終えたのを見ると嬉しそうに微笑んだ。
あっという間に前見たほぼベッドだけの部屋に早変わり。そして、
「タクぅ!立たせてぇ」
上を脱ぎ捨てて両手を伸ばしてくる先輩。
その腕を俺の肩に乗せて立たせると先輩は笑って抱きついてくる。
「今、付き合ってるなら……エッチするだろ?」
誘うような言い方に少しムッとしてしまった。
「俺は本気で付き合いたいんですよ?」
「うん!だから、ネコになってもいいっていうお前の覚悟見せてみな?」
フワッと妖艶な笑みを見せられてドキッとする。
引き寄せられて唇を塞がれて、笑う先輩に手を引かれた。
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