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「お前なぁ!!」  車に乗った瞬間に悪態をつかれて俺も先輩をまっすぐ見る。 「春樹先生とは何をしたんですか?」 「はぁ!?何言ってんだ!先生は同じ年少さんの主任で色々丁寧に教え……」 「腰に手を回して?あんな顔も近づけて、ですか?」  どうしたって言葉にトゲが混ざってしまった。  手を伸ばしてその頬に手を添えると先輩は俺の手を振り払う。 「……何が言いたい」  睨まれて素直に身を戻した俺は黙ってシートベルトを締めた。  先輩が締めたのも確認するとゆっくり車を発進させる。  途中で駅へ向かう先生を見つけたが、それはそのまま通り過ぎた。 「……先生は先輩に何も言いません?」 「……」 「無言は何か言われていると答えているのと同じですが?」  チラッと先輩を見ると先輩はフィッとそっぽを向く。 「たまに仕事帰りに飯食ったりするくらいだよ」 「そうですか」  そうとは思えなかったが、この運転中に追求するのもよくない気がして素直に引き下がった。  流れる景色。  慣れていない道を丁寧に運転することに集中してモヤモヤして湧き上がりそうな感情(モノ)は抑え込む。  美玖にはあまり抱いて来なかった感情かもしれない。  俺はこんな嫉妬深かっただろうか?  いや、先輩に対しては結構前からそうだった気もする。 「……やっぱ好きなんですよ」  ポロッと声に出していた呟きに先輩が反応することはなかった。

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