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 先輩の持ち帰ってきた仕事である色画用紙で飛行機やら電車やらを作って、寝落ちた俺たち。  エロなく……は成功した。  想いがちゃんと伝わったかはわからないが。  朝、先輩より少し早く起きて朝食も用意した俺に先輩は笑顔を見せる。 「こういうの……マジ憧れた」  ポツリと呟いた先輩の手を引いてギュッと抱き締めるだけで言葉にはしなかった。  物心つく時には母子家庭で、家計をやり繰りするためにいつも仕事をしていた先輩のお母さん。  古くて狭い団地で暮らしていた先輩はいつも一人だったし、毎晩カップラーメンだという先輩をしょっちゅう夕飯にも誘った。  泊まって父さんたちも一緒に朝ご飯を食べた日はくすぐったそうに笑っていた先輩。  温かい家庭……それが先輩の理想だと俺は何度も聞いて知っている。  本当はめちゃくちゃ子供好きだけど、ゲイで自分の子供は叶う可能性も低いって理由で子供たちと触れ合える保育士を目指したこと。  家を出るために……仕事をして自立するために短大に進学してこの春就職したこと。  先輩はいつだって“愛”を求めている。  元彼たちに振られてきた理由はいつも「重い」なのはそういうのもあると思っている。  俺にもそこまで求めてくれればいいのに、まだ俺に対する扱いは今までの後輩のそれと変わらない。 「先輩」  両腕を広げてみても 「なっ、バーカ」  先輩は飛び込んでくるどころか、見ないようにカップで顔を隠す。  隣にくっついてギュッとしたって、酒の入っていない先輩は甘さはカケラも見せてくれない。

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