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先輩の部屋に辿り着いて息を整えながらインターホンを押す。
だが、待ってみても反応はなかった。
心配になりつつドアノブに手をかけると、すんなりと開いて更に心配は増す。
「先輩!?」
慌ててドアを開けると、先輩はソファーの端で突っ伏していた。
靴を放り出して慌てて駆け寄る。
様子を確認して寝ているだけなのがわかると、ホッと息を吐いた。
「ん……?あれ?タク〜?」
前髪を掻き上げただけだったのに起きてしまった先輩はぼんやりした目でこっちを見る。
そして、腕を伸ばして俺の首に絡み付いてきた。
求められるままにキスをして俺も深く舌を絡めせる。
「んっ、は……ぁ……」
艶めかしい声にもちろん反応しないわけがない。
でも、今夜はそんなことをしている場合ではない。
俺も明日は朝から授業があるし、先輩だって仕事の日だから朝は早い。
「先輩、寝るならちゃんとベッドにした方がいいですよ?」
「んー?一緒に寝るか?」
微笑まれてグッと堪える。
「寝ませんよ。先輩を寝かせたら帰ります」
テーブルを退けて先輩を移動させつつソファーの座面を引き出した。
だが、シーツを敷く前に先輩が転がってしまって諦めた俺は枕だけを並べる。
掛け布団も出そうとすると、腰に腕が回ってきてグイッと後ろに引かれた。
「うわっ、ちょっ……」
バランスを崩しそうになるのに耐えつつ目をやると、先輩は頬を膨らませてムッとしている。
その姿がかわい過ぎて……ズルい。
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