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50、第7話「邪魔者」

「タク」  こっちを見たくせに耳を少し赤くしてふいっとそっぽを向く先輩を見下ろす。  あれから先輩は俺と出かけてもちょっと照れるようになった。  やっと先輩が少しずつ俺を意識し始めたようでそれは嬉しい。 「何ですか?」  そんな先輩の手に俺の手を絡ませて繋ぐと、先輩はびっくりしたような顔をこっちに向けた。  「おまっ、ここ、外!」  それでも引っこ抜こうとした手は離さない。 「えぇ、ダメですか?」 「ダメだろ!誰かに見られるぞ!」 「いいですよ!むしろ、見せびらかしてやります」 「バカ……」  言いながらもキュッとその手はしっかり握り返してきて、俺はそれだけで満足だった。 「何食いたいですか?」  並んでスーパーに入りながらかごを手にする。 「肉」 「大雑把過ぎますって」  カートも手にしてそのままかごを乗せつつ手は離さない。  離れかける先輩をしっかり傍に置いて俺は先輩に微笑みかけた。 「明日、デートします?」 「発表会の衣装作ったらな」 「よし!じゃあ、速攻で作りましょうね!」  頷く先輩は何だかんだ俺にぴったりくっついてる。  先輩は甘えたがりでこういうとこが本当かわいい。  俺たちは並んで買い物をして、一緒に先輩の家に帰宅した。  金曜日は俺が作ってその日は泊まる。  軽くキスをして抱きついてくる先輩を抱き締めてただ眠るプラトニックな関係。  そして、土曜日の夕飯を食べたら帰る。  それはもうお決まりになっていた。    先輩に告って一ヶ月ちょい。  六月になってやっと俺は先輩と付き合っていると実感し始めていた。

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